・あの話し方が気になる
・わざとだとしたらどんなメリットがあるんだろう?
そんな疑問にお答えします。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。
普段はプロや歌の専門学校生などと一緒にレッスンをしています。
講師業の前は、声優としてナレーションや吹き替え、キャラクターボイスなど様々な “声の表現” のお仕事を経験してきました。
『今回のテーマ』
・高岸さんの話し方はわざと?
・高岸さんの話し方と”印象”
・良い所取りして得られるメリットと注意点
今回はお笑い第七世代としてバラエティ番組によく出演されているお笑い芸人、漫才コンビ “ティモンディ” の高岸さんをモデルに話し方の印象や効果についてお話しします。ご存じない方はこちらの動画で確認してみてください。
クセの強い喋り方と真っ直ぐなキャラクターでテレビに出演されている高岸さんですが、彼の話し方や姿勢から学ぶべきこと、実はたくさんあるんです。
話し方は訓練次第で身に付けられる技術です。
・自分の印象をここぞと言うときにしっかり残したい人
・話し方スキルの向上を目指したい人
ぜひ最後までお付き合いください。
高岸さんの話し方はわざと?
結論:わざと。
まず間違いなくキャラクター(わざと)だと判断しています。
僕自身が直接お会いしたわけではないのでハッキリとしたことは言えないですが、1000人以上の人とレッスンをしてきて、話し方の悩みや印象などを見てきて、そう感じます。
基本的に人の話し方は育った環境に左右されます。
・何語を話しているか
・声の大きさ
・話す速さ
・言葉選びや感情表現
周りの人がどんな風な喋り方をしているかによって少しずつ影響され自分自身が形成されるのですが、テレビで紹介されている範囲であの話し方になる要素はみられません。
・しっかりコミュニケーションを取らなければいけない芸能界
・空気を読みトークスキルが求められるお笑い芸人という職業
どれをとってもゆっくり喋ることが必要となるイメージはありません。
そういう人もいる
ただ、あの速さで話す人がいないのかというとそういうわけでもなく、先天的な問題でゆっくりしか話せない人もいます。
しかしその場合、もっと間延びしたり、主観的で補足のたりない言葉選びになったりとすごく特徴があります。お笑いの世界でバシッと笑いを決めることのできる高岸さんはむしろ頭の回転は早い方だという印象です。
結論・素晴らしいキャラクター
以上のような理由からあれは ”ティモンディ・高岸” というキャラクターだと言えます。そして営業妨害でもなんでもなく、とても素晴らしいテクニックです。
話し方を勉強している人が参考にしてほしい要素がたくさん詰まっています。
以下はボイストレーナーとして、その辺りについてお話ししたいと思います。
高岸さんの話し方の技術的なメリット
話し方とは大きく三つの要素の組み合わせで印象が決まります。
① 姿勢や服装(外見
② 声を使った各種表現(喋り方
③ 言葉選び(内容
誰だって環境によって出来上がった今の話し方はありますが、お箸の持ち方やペンの持ち方のように、訓練次第で誰だって変化させることができるのです。
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これをもとに、高岸さんの話し方が与える良い印象、メリットについてお話しします。テーマは以下の3つです
自信
落ち着き
他者との差別化
① 自信
まず一つ目は『自信』です。
ゆっくり話すというのは自信や信頼感に繋がります。
・自分に自信がない人
・人前に出て緊張してしまった人
・周囲の目に不安を覚えた人
これらに当てはまる人はついつい速く喋りがちです。
『早くなってしまう原因』
・相手を待たせて悪い
・不安を文章量で埋めようとする
・受け入れてもらえなくて居心地が悪い
そうならないためにも、ゆっくりと話すことは効果的です。
ゆっくり話すことで自分のターンに焦っていない印象を与えることができ、周りから『堂々としている』という印象を与えるきっかけになります。
もちろん姿勢やその他話し方にも左右されるので絶対ではありませんが、少なくとも高岸さんを見て自信がなさそうな印象を持つ人はいないと思います。その要因の一つとして、このゆっくりした話し方が関係しているのです。
② 落ち着き
質問です。
早口の人ととゆっくり話す人を比べたとき、どちらの方が落ち着いている印象でしょうか?
はい正解。
もちろん早口の人でも、声の高さや語尾の抑揚などで印象を作ることはできます。
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しかしもっと直接的に、話すペースをゆっくりにするだけでも、早口の人と比べて落ち着いた印象を与えることが可能なのです。
高岸さんを見て慌ただしい印象を持っている人はやはりいないと思います。
③ 他者との差別化と”コントロール感”
これは表現の世界の人限定の話かもしれませんが、露骨にゆっくり話すことで、他の人・キャラクターとハッキリ差別化を図ることができます。
表現において “分かりやすさ” はとても大切です。
自分の中のやっている “つもり” ではなく、見ている人聞いている人がハッキリ音として認識できるということがポイントになります。
ゆっくり話すことの技術的デメリット
まずは3つ、ゆっくり話すことのメリットについてお話ししました。
続いては『デメリット』です。
何にだって良い面と悪い面があります。
何にでも使えるメリットしかない話し方なんてものがあったら、話し方の学校も書籍も必要ありません。
というわけでデメリットと3つと、高岸さんがそれをどう回避しているかのお話です。
尺が伸びる
相手を待たせる
ぼーっとして元気がない
尺が伸びる
同じ文字数の言葉を話すとき、ゆっくり話す人の方が時間がかかります。
そのため、他の人と同じような言葉選びをしていたら単純に話すのが遅いだけの人になってしまいます。
堂々と自信のある印象を与えたいのに相手から悪く捉えられてはたまったもんじゃないですね。
相手を待たせる
時間がかかるということはそれだけ相手を “待たせる” ことに繋がります。
結論が後回しになったり句点で繋いで一文が長くなってしまうと聴く側が疲れてしまいます。
ぼーっとして元気がない
高岸さんを見ていてぼーっとして元気がない印象は感じませんね。
これは話す速さ以外でも印象をコントロールしているからです。
条件が揃うとぼーっとした印象になるのを感じられると思います。
望んだ印象を与えるためには、ゆっくり話す以外にも様々な要因が必要なのです。
高岸さんがどう回避しているか
では、上記3つを高岸さんはどう回避しているのでしょうか。
『大切なポイント3つ』
・言葉選び
・相手への尊敬
・声の大小と滑舌
言葉選び
ゆっくり話すということはそれだけ尺が伸び、自分のターンが増えることはお伝えしました。
そのため、結論を先にのべたり、シンプルで力強い言葉選びが必要になります。
結果的にそういうシーンのみ使われているのか高岸さんがそういう言葉選びを意図的に行なっているかは分かりませんが、だからこそ話を聞けるし、短い言葉で自分から笑いを生み出したり笑いに変えてもらえるからこその今の活躍だと感じています。
相手への尊敬
ポジティブが強い性格は人によって好き嫌いが分かれるところではありますが、自分が頑張っていることや何気ない行動を相手から「素晴らしい」「最高だ」「元気をもらった」と言われて嫌な気持ちになる人は少ないでしょう。
相手への尊敬があり、自分の気持ちを隠さないストレートな言葉選びが組み合わされることで好感度が高くなっている部分は間違いなくあるでしょう。
声の大小と滑舌
ゆっくり話してもそれ以外の条件(声の大きさ、滑舌、言葉の立て方)が同じだとぼーっとした印象になるとお話ししました。
それを回避するために、元気な声、しっかり口を動かした滑舌を駆使することでハッキリしっかりとした印象を与えることに成功しています。
また、普通にトークしている声のトーンと誰かを褒めたり自分が熱くなっている時の声のトーン、大きさはしっかり差が出て表現にメリハリがあります。これも良い印象につながる技術の一つです。
<だから好かれる>
ゆっくり喋りつつ、
分かりやすい言葉選びで、
相手への尊敬を忘れず、
抑揚を付けながらハッキリしっかり喋る。(そして笑いを取る)
だからこそ人に好印象を与えることができるんだと考えています。
また、他人から好印象を思われ受け入れてもらえるほど、長い時間話しても相手が待てる・聴けるというメリットもあります。
お仕事が好循環で回り出すのも納得ですね。
自分の話し方に取り入れてみよう
最後はこの素晴らしい技術をぜひ取り入れてみようというお話しです。
最初から最後まであのペースで話す必要はありません。
また、あそこまでゆっくり話す必要もありません。
しかし、以上説明した技術を自分の引き出しに加えることができると、必ずあなたの話し方は向上することでしょう。ぜひ挑戦してみてください。
速さのコントロールは自信につながる
メリットの部分で、ゆっくり話すことが自身のある印象につながるというお話をしました。
もう一つ。
ゆっくり話すことではなく “ゆっくり話せる” ことにもメリットがあるのです。
そして対処法がわからないため、緊張や不安からただただ早口で喋ってその場を切り上げようとしがちなのです。
しかしここまでで、話し方はテクニックであることを知りました。
自分の意図で熱を持ってわざと早くし喋ったり、大切なところをゆっくり話したり、意識的かつ冷静に印象を操ろうとしている意識は余裕感に繋がり、尚且つコントロールしている自分自身に自信が持てるようになるのです。
理解力が高くテンポのはやい若者と、思考力が鈍り体力の減ったお年寄りに同じ言葉選びや同じ速さで説明することはありません。
人に合わせて会話ができるという引き出しと自信を持つためにも、わざとゆっくり話す練習をしてみてください。
相手にも考える余裕を与える
会話のペースは基本的に相手の理解力によって左右されるべきです。
しかし、集団に向かって話している時はそれもなかなか難しいでしょう。
ゆっくり話して相手の反応を見ましょう。
相手が考える余裕、噛み砕いて飲み込む時間を作るというのもとても大切です。
相手がしっかり会話についてくることができれば、あなたの話はより受けてめてもらいやすくなります。
まとめ
今回はテレビで活躍されるお笑い芸人、ティモンディの高岸さんから学ぶ話し方のテクニックについてお話ししました。
スポーツも芸能も人生も、なんだって一番の近道は『真似る』ことです。高岸さんに限らず、テレビを見て話し方が上手いなという人を見つけたらぜひ真似をしてみてください。
他にも胸周りを隠さず広く開け続けている姿勢や笑顔、頷く動作など相手に好感をもたれるようなテクニックが満載です。
キャラ作りというと悪いイメージを持たれるかもしれませんがやっていることは『いかに相手に楽しんでもらえるか』『いかに相手のことを考えて話し方を変化させているか』に過ぎません。
あなたの話し方の引き出しが増えますように!
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