そもそもアイウエオの正しい口の形を知らない、なんとなく意識しているけれど正しく使えているのかわからない。そんな人に読んでほしい記事です。日本語は基本的に母音で終わる音が殆どなので、余計な緊張なく表情筋と舌の連動がスムーズにいけば、滑舌改善の一歩目になります。是非最後までお付き合いください。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
今回は日本語の母音『あいうえお』それぞれの口の形の確認をご紹介します。後日アイウエオの口の形を意識した上での練習方法をご紹介します。早速見ていきましょう。
当たり前を疑おう
バッチリなんじゃないの?
いい質問!
まずは常識を疑うところからです。
日常生活していて、機会があれば目の前を歩いている人の歩き方を真似してみてください。ガニ股だったり内股だったり、足がしっかり上がっていたり地面を擦っていたり、実に様々な歩き方をしていると感じられます。
これは “歩く” という行為が様々な筋肉のバランスから成り立っていることが理由です。
アイウエオの喋り方も同じです。
表情筋という顔に20以上あるとされる筋肉の使い方、指くらい複雑な動きができると言われる舌、そして音を作る声帯周り。これらのバランスで結果的に滑舌の良い人悪い人が出ています。
今回は基礎発声ではなく口の形です。
では一つ一つ確認してみましょう。
やっている“つもり”を防ぐために、必ず鏡を見ながら挑戦してみてください。
『あ』の形を意識しよう
2・両手の人差し指だけをピンと伸ばし口角(口の一番端の部分)辺りにに添えます
3・そのまま口角が指の外にも内にも出ないよう口を縦に開けて『ア』の完成です
〜 注意点 〜
下顎だけ開きを頑張り過ぎて上の歯が全く見えない状態は避けてください。
頬をあげる筋肉と、口角を斜め上に引き上げる筋肉、自然な笑顔の時に使うようなこの二つの筋肉を意識し指2本分くらい口を縦に開けます。
『い』の形を意識しよう
2・両手の人差し指だけをピンと伸ばし口角(口の一番端の部分)辺りにに添えます
3・そのまま口角が指の外に出るくらい横、斜め上にひっぱり「イ」の完成です。
〜 注意点 〜
真横だけを意識して口を動かしすぎると下顎が過度に緊張しやすくなります。この緊張は発声や滑舌に大きく影響し、素早い変化を妨げる原因になるので気を付けましょう。
基本は上の歯が綺麗に見えるように。
頬や口角を引き上げる筋肉を意識しながら言葉を作ります。
『う』の形を意識しよう
2・両手の人差し指だけをピンと伸ばし口角(口の一番端の部分)辺りにに添えます
3・そのまま口角が指の内側に入り、口をすぼめて「ウ」の完成です。
〜 注意点 〜
口をすぼめるバランスに注意しましょう。すぼめなさすぎて指が一本入るくらいだと開き過ぎです。ウとオの判別が付きづらくなってしまいます。
また、すぼめすぎると今度は唇周りの筋肉の使いすぎ、緊張となってしまいます。単音の練習だとそれほど影響はないのですが、他の言葉につなげづらくなるので気をつけてください。
『え』の形を意識しよう
2・両手の人差し指だけをピンと伸ばし口角(口の一番端の部分)辺りにに添えます
3・そのまま口角が指の外に出るくらい横、斜め上に引っ張り、指一本分くらい口を縦に開けて「エ」の完成です。
〜 注意点 〜
イと同様、真横に引っ張りすぎたり下顎に力が入って下唇が地面と平行になったり下の歯だけが見える形にならないよう注意しましょう。
基本の形は逆三角形です。
上の歯が綺麗に見えるよう頬や口角を引き上げる筋肉をしっかりつかい、形を作ります。
『お』の形を意識しよう
2・両手の人差し指だけをピンと伸ばし口角(口の一番端の部分)辺りにに添えます
3・そのまま口角が指の内側に入り、口をすぼめて「オ」の完成です。
〜 注意点 〜
下顎に力が入りすぎないようにしましょう。アと同じくらいの口の広さから、顎を殆ど動かさずに表情筋だけでオの口を作ります。下顎がガクガク動きすぎないよう意識してみてください。
また、すぼめすぎ注意です。
口の隙間が指一本ぶんより狭くなってしまうとウとの違いがわかりづらくなってしまいます。オとウを交互に言いながらバランスを確認してみてください。
自然な流れで口の形を意識しよう
口の動きを練習するときはアイウエオではなく、順番を入れ替えイエアオウで練習してみましょう。
表情筋の動きを外側に引っ張ったところから下顎の動きが連動し、口角が内側に戻りつつ徐々に口がすぼんでいく。無理に外や内に行ったり来たりしないので近い言葉との区別をしつつ楽に口の形の練習をすることができます。
口角の動きが順に
外・外・真ん中・内・内
となります。
動かしやすいですね。
逆からやる場合はもちろんウオアエイです。素早く言うのではなく、一つずつ確実にポジションを覚えて練習しましょう。
喉で音を切らない
また、口の形を覚えた上で発声に繋げたい場合、一文字ずつ「ア・イ・ウ・エ・オ」と音を取るのではなくアーーーーーっと音を伸ばして口の形だけ変えているつもりで「アイウエオ」と繋げて発声しましょう。
疲れやすい、緊張しやすい痛めやすいという人は、母音だけで発声するときに喉でアクセントをとりがちです。
英語で『yeah』と言ってみる
音をつなげて口の形だけ変える、がわかりにくければ英語で「yeah(イェア)」と発声してみてくだい。
その時『エ』や『ア』は口の形が変わっているだけで、喉でアクセントを作るように『エッ、アッ』と必要以上に緊張させてはいません。この感覚を忘れないで日本語に繋げます。
同じノリで「イエアオウ」と言ってみましょう。
yeah のノリで、口の形が日本語なだけです。
最後に
今回は母音の口の形についてお話ししました。
自分のいつもの使い方と違う人は、鉛筆やお箸の持ち方を矯正するように何度も練習してみてください。スポーツの素振りと同じように、基本の使い方が応用につながっていきます。
皆さんの歌や話し方がいいものになりますように。
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