社会人らしく話せと言われて困っている人、話し方が幼いと言われる人、頼りなさげに見えてしまう人。そんな人の悩みを解決します。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
“話し方” は自分で悩んでレッスンに来られるだけでなく、上司になんとかしろと言われて訪ねて来られる方もいます。
一番多いのは「話し方、喋り方が幼い」「もう少し社会人らしく話せるようになれ」と言われてしまうという悩み。逆に接客業の方で、真面目すぎたり硬すぎたりして、もう少し柔らかい印象を身につけたい(身につけてこい)方もいますね。
なぜ話し方が軽く聞こえるのか。
どうして喋り方が固く聞こえるのか。
その仕組みをお話しします。
・幼い喋り方をやめたかったら助詞や語尾の音を伸ばさない
・語尾の音が消えないように注意する
ポイントは助詞や語尾の音の動き
人の印象を決める大きな要素の一つ。
それは助詞や語尾の「音の抑揚」です。
この部分の音が上がるか、下がるかによって人の印象は大きく変わります。
(他にも、語尾以外での音の大小、高低、速遅など抑揚のテクニックはあるのですが、今回は語尾についてお話しします。)
助詞は忘れた人も多いでしょう。
私は、
私が、
私の、
など、ある言葉に意味を付け加えるときに使う日本語です。
ざっくりと助詞とは「~が、~を」みたいなやつだと思ってください。
語尾は単純です。
です。
ます。
ました。
その他全ての、読点(”。” )の直前ですね。ざっくりと語尾とは「喋り終わりの部分」だと思ってください。
これらのポイントに注目します。
助詞の音が上がると軽い話し方に感じられる。
ご来場いただきまし ”て”↑
誠 ”に”↑
ありがとうござい ”ます“↑
” ” の部分を意識的に『音を上げて』読んでみてください。
どんな印象を受けましたか?
助詞や語尾の音が下がると、悪い意味では軽い印象を与えてしまいます。
助詞の音が下がると、しっかりした印象を与えられる
ご来場いただきまし ”て”↓
誠 ”に”↓
ありがとうござい ”ます”↓
今度は “ “ の部分を意識的に『音を下げて』読んでみましょう。
助詞や語尾の音が下がると、良い意味でしっかりした印象を与えられます。
音の上下に優劣はない
いい意味で、悪い意味で、少し曖昧な表現でした。
これには理由があります。
どちらの表現が優れているというわけではなく、自分の目的によってある程度使い分けが必要だからです。
音を上げると、悪い意味で軽い印象を与えてしまうことはお話ししました。反面、音を上げることで、良い意味の明るさ・親しみやすさ・距離の近さやポップさといった印象を与えることができます。
音を下げた場合。
いい意味ではしっかりした印象を与えるとお話ししましたが、これはあくまで固めのビジネスやある程度フォーマルな場での話。多用し過ぎると、硬さ、生真面目さ、距離の遠さを演出してしまう場合があります。
ですので、どちらが良いというわけではありません。
雑談の時には軽く音を上げる機会多めに話し、仕事のスイッチを入れたり真摯に話をしている時には音を下げたり、自分でコントロールする練習が大切です。
どちらかだけを使えばいいという訳でなく、相手にどう思われたいか、どう思わせたいか。目的を意識しながら何か文章を読んでみましょう。
同じ台詞でも人によって音の上下が違うのは何故か?
ではなぜ、同じ文章でも人によって音の動きが変わるのでしょう。これにはいくつか理由があります。一つは『環境』、もう一つは『習慣』です。
周りがそういう話し方が多く、それが当たり前になった。
基本的に人は、周りの大人たちの言葉を真似しながら言語を習得します。
物心ついてからも、テレビの芸能人やアニメのキャラクター、学校で流行っている言葉など沢山の人から影響を受け続けます。
自分がどんな環境でどんな言葉を聞いてきたか、または喋り方についてどういう風に教えられ育ってきたかで話し方は異なります。
考えながら話していると語尾が上がりやすくなる
もう一つは習慣。
自分の中で会話に整理がついていなかったり、間を遅れて言葉を考えながら話していると音は上がる傾向になります。
えっと~↑、
まずは何々を用意し ”てぇ”↑、
次が何々 ”でぇ”↑、
何々だか ”らぁ”↑
……何々 ”です“↑
幼く見られたくない、
若く見られたくない、
頼りなく見られたくない、
あなたにそういった意識があるなら、助詞や話終わりで音を伸ばさないように気をつけましょう。
上がり癖の辞め方。
最後にどうすれば改善できるかです。
知識は仕入れました。
あとは実践あるのみです。
無意識の語尾上げを止めたい人は、無数の文章を声に出して新しい引き出しを身につけたり、考えてから喋る習慣を身につけましょう。
音の流れは上から下
演出したい自己によって必ずしも上から下である必要はありませんが、意識的にコントロールすることでテクニックを身につけましょう。
「
本日は、
ご来場いただきまして、
誠に、
ありがとうございます
」
一行ごとに音を上から下に流れるように読んでみてください。
あくまで自然な日本語としてです。歌のように「ソファミレド」と音階で「ほんじつは」と歌ってしまわないように気をつけてください。
語尾が聞こえないと自信のない印象に受け止められてしまう
そしてもう一つ注意点。
上から下に音を動かすのは分かったけど、うっかり低いところから始めてしまって音が下がりきれなくなり、苦しそうに音が聞こえなくなってしまう。そんな事態は要注意です。
想像してみてください。
何かをアピールしている人の言葉尻が小さくなったり、一番肝心な部分で何と言っているのか聞き取りにくい人に対してあなたはどういう印象をもつでしょうか?
今回の練習の目的は音をコントロールすることで相手に与える印象を変えること。
音の流れを変えても悪い印象を与えては意味がありません。
最後に
一度周りの人の話し方を観察してみてください。
話し方が上手い人、魅力的な人、自信に溢れているや敵を作らない人、一体どんな話し方をしているでしょう。
話し方は義務教育では教えてくれません。
参考になる人を観察して、いいところをどんどん吸収し自分のものにしちゃいましょう。