話し方でも歌い手でも、マイクを使う機会は多いです。持ちかたや角度なんかはよく見かけるので、今回は音の入れかたについて知っておいて欲しい大切なことをお話します。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
今回はマイクへの音の入れかたのお話。
話し方でも歌手のライブでも、スタジオでの収録でも、マイクは我々に欠かせない大切な道具です。
持ちかたや角度も大切ですが、マイクを使う上で大切なことを一度おさらいしてみましょう。
・どんな音を拾わせるかを決めるのは自分だ
・マイクに気を使いすぎないようにしよう
マイクは音を拾う装置
そうだね。
しかし現実は、この当たり前が本当の意味で理解されていないことが多いのです。
マイクの役割は『音を拾う』ただそれだけ。
そして拾った音をその他の機械を通して大きくしてやり、スピーカーから出します。
にもかかわらずマイクで拾った音が大きくてびっくりしてしまい、うるさくならないように自分の声の大きさを調整する人がとても多い!
あなたの立場はマイクより上
自分が何をどんなふうに喋りたいか、どんな風に歌ったり演じたりしたいかは表現活動をしている以上誰だって持っています。
そんな自分の表現を拾って、音を大きくする装置につなげるのがマイクです。
“マイク様に声を入れさせて頂く” というような関係になっていませんか?
特に、手で持たない、スタンドマイクの場合注意してください。
使い方が悪い(マイクより立場が下になっている)人は、マイク様に声を拾っていただこうと頑張って身体を前傾させたり、ひどい時はマイク様の網の部分に向かって声をお届けしようと頑張ってしまいます。
気を使いすぎた結果からくる硬い前傾姿勢は発声にもあまりよくありません。
繰り返しになりますが、あなたが表現したい距離感、表現したい熱意、表現したい声の大きさや滑舌。それらを人の力を超えて大きくし、より沢山の人に届ける役割の一つがマイクです。
マイクより立場を下げ、自分の表現が崩れないよう注意しましょう。
また、ハンドマイクでも同じです。
拾った声が思ったより大きかったからといってあなたが声を小さくして距離感や表現を崩してはいけません。
講演などの話し方では熱量が大切な場合もあります。
後ろの人にまで熱意を持って「いいですか皆さん!」と語りたいのに、ボリュームが大きかったからと自分の声のトーンを落としてしまうと自信や熱意というのは届かなくなってしまいます。
変えるべきは拾う量、マイクの設定やスピーカーの設定です。
どんな時でもマイクに合わせて自分の表現を変えないよう注意してください。
マイクを叩かない
かといってマイクを雑に扱ってはいけません。
マイクが音を拾ってくれているか、その音がスピーカーからちゃんと出ているかを確認するときに、素人の方はよく “ボンッボンッ” とマイクのヘッドを叩いて確認します。
これは絶対にやめてください。
マイクもスピーカーもとても繊細な機材です。一定以上の経験値がある人なら絶対にやりません。というかプロ失格です。
それだけで素人に見られてしまったり、予備知識のない奴だと評価や印象が下がるのは損だと思いませんか?
ドヤ顔で語るほどのものでもありませんが、音を拾ってくれいているか、その音がスピーカーから出ているかをチェックするときは必ず声を出して確認しましょう。恥ずかしがって強く息を吹きかけるのもよろしくありません。ぜひ頭の隅にでも留めておいてください。
最後に
今回は意外に忘れがちだけどとても大切なことをお話しました。
マイクの角度やマイクの握りかたも大切ですが、それを生かすも殺すも、それ以前のあなたの心がけ次第だということを忘れないでください!
それではいい表現ができますように!