ボイトレはしたい。でも喉は痛めたくない。かといって休みすぎて貴重な時間を無駄にしたくない。そんな人のためのお話です。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
まだまだ駆け出しですが、プロからプロの卵まで1000人以上とレッスンしてきました。
そんな中、専門学校やボーカルスクールでよく聞かれる質問があります。それが今回のテーマ「1日あたりどれくらい練習してもいいのか」というもの。
実際人によるとしか答えようがないのですが、簡単に話を終わらせず、何故休みが必要なのか、目安としてどれくらいなら練習していいのかといった話をしたいと思います。
・オーバーワークは喉、身体を壊す
・大切なのは練習時間より練習内容。集中力と観察力。
翌日まで疲労や違和感を残さない
発声は様々な筋肉のバランスで成り立っていいます。
そういう意味で、「歌いまくって歌の筋肉を鍛よう!」なんて簡単に言ってしまう人がいますが、注意が必要です。
発声・歌に必要な筋肉とバランスというのは確かに存在します。しかし、厳密には一人一人の声を聞いてみないとわかりませんが、翌日まで残る違和感・疲労というのは高確率で無理のしすぎであることが多いです。
翌日まで疲労や違和感が残っている人は、そうならないよう発声を変える意識を持ちつつ、練習時間を減らす必要があります。
違和感は悪いこと?
そうとも限りません。
今まで使ったことのない筋肉を使うようになると結構な確率で違和感を覚えたり、いつも以上の疲労感が出たりします。
目安としてはとりあえず練習後2~4時間後には何も違和感がなくなっているくらいなら安心です。
悪い使い方をしていたとしても体に負担がかかりすぎていない状態ですし、慣れない新しいバランスからくる違和感の場合はしばらく練習していくうちに自然となくなっていくでしょう。
時間でいったらどれくらい?
どれくらい声出して良いの?
声を出して練習する具体的な時間ですが、正直人によって異なります。
が、とりあえず。
・わかりやすく発声に問題を抱えている人は20~30分前後
・健康的な人でも60分前後
・上級者でも90分は超えない
これを目安にしてみてください。
これはあくまで声を出し続けている合計時間の話です。実際の練習時間はお手本を聞いたり、自分の声を録音して聞き返したりもするでしょう。声を出している時間以外はどれだけでも大丈夫です。逆に、声を出している時間が少なくても喉に痛みや不快感が出たら無理せず練習を切り上げてください。
気持ちはわかります。
しかし、信頼できるボイストレーナー立ち合いの練習でなければ毎日は避け、力みや負担が強い人ほど喉を休める日を作りましょう。声を出す以外にもボイトレはできます。
どれくらいという目安はありませんが、無理して毎日声を出す練習をし続けても喉にはよくありません。
慢性的な悪習慣は下手をするとポリープや声帯結節といった症状を引き寄せます。
客観的に疲労感やダメージを見極められる人が近くにいない限り、一回の練習で効果を実感できなかったら切り上げてまた次回頑張りましょう。
その悔しさをバネに、今度はこうしてみようなどとイメージを重ねたり、声を出さないボイトレに切り替えてみてください。
筋トレと休息と集中力
ここからは練習や発声についての補足です。
喉や身体について理解が増えると練習の効率もきっと上がるでしょう。ぜひお付き合いください。
集中力は最大90分?
まず集中力について。
人の集中力は15分周期で、どんなに長くても90分くらいだというのが通説です。
様々な実験や研究に基づいた発言があるので参考程度にしておくのが良いかもしれませんが、一日中ずっと集中できるわけではないという部分は納得できると思います。
長くない?
90分が長くて大変だという人は『45分頑張って15分休憩』や『50分頑張って10分休憩』などの1時間区切りがわかりやすく、個人的にオススメです。
それでも長いという人は15分や30分集中して少し休むを繰り返してみても良いでしょう。そして、、、
ダラダラ練習しても意味がない
練習はなんとなくでやらないよう注意しましょう。
発声練習はあくまで自分の身体のバランス、コントロールを高める練習です。
たまにボイトレ本のお手本cdを流しながらスマホをぽちぽちしつつ、なんとなく日課のように発声練習を行なっているという話を耳にします。しかしこれだと効率が良いとは言えません。
一つ一つの発声練習は目的があります。
今何を目指して練習しているのか、また、その時自分の身体のバランスはどうなのか、先生に何を指摘され自分は何を注意しているのかを意識できると成長はめざましいものになるでしょう。
毎日練習しているのに全然上達しない
沢山勉強したのに全然成績が上がらない
こういった人は努力の方向を間違えています。
沢山取り組む熱意や覚悟自体はとても素晴らしいので、あとは量より質を高める練習を目指しましょう。
毎日筋トレをしすぎたらたらどーなる?
トレーニングには『オーバートレーニング』という状態があります。
過剰なトレーニングで身体に負担がかかり慢性的な疲労状態が続くと、パフォーマンスが低下したり伸び悩んだりしてしまいます。
集中力が下がっていないか
疲労感、痛みが長引いていないか、
毎日何時間も練習しすぎていないか
自分のボイストレーニングを振り返ってみましょう。
毎日過度なトレーニングを続けるとかえって身体に悪そうなのは想像できると思います。
発声も同じです。
発声は身体の様々な筋肉が働くことで成り立っています。
決して無理をしないようにしましょう。
最後に
時間はあくまで目安です。
平気だったり辛かったりしたら構わず時間を増減させてください。
大切なのは練習時間ではなく、練習内容と集中力。
無理せず確実に上達していきましょう!