褒められたとき返しでなんだか微妙な空気になる。もしくは、単なる社交辞令に喜びすぎたくない、かといって謙遜しすぎて場の空気が冷めるのも申し訳ない。そんな方は一度、答え方を整理してみませんか?
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
褒められることに慣れない人っていますよね。
はい。
僕もそうです。
今でこそある程度改善されてはいますが、正直なところ社交辞令が苦手です。
そして褒められ慣れない人は、褒められないから答え方に悩みます。悪循環ですね。
今回は一度、答え方にはこういう注意点があったんだと整理してみましょう。
・返し方の “型” を見てみよう
・二度と会わないような人と練習してみよう
最初に表情とタイミングを振り返ろう
答え方を気にする上で外せないポイントがあります。それが『表情』と『タイミング』です。
精一杯返したのになんだか微妙な空気になってしまったという場合まずこの二つのポイントを押さえましょう。
表情
一つ目は『表情』です。
よくビジネス書などで『メラビアンの法則』という言葉を目にしますね。
はい。
ビジネス書、特に自己啓発系多めの書籍では “見た目が大事だからしっかり気をつけようね” とシンプルに説明されがちなんだけど、正確には『相手の見た目(視覚情報)、喋り方(聴覚情報)、話す内容(言語情報)が矛盾していたとき、どこを優先的に判断するか』という実験です。
優先度の割合としては『見た目 55%、喋り方 38%、内容 7%』とされています。
a. 笑顔・嬉しそうに「ありがとうございます」
b. 無表情・嬉しそうに「ありがとうございます」
c. 笑顔・嬉しそうに「そんなことないですよ」
d. 無表情・嬉しそうに「そんなことないですよ」
さて、それぞれどんな印象を受けたでしょうか?
見た目(視覚情報)がかなり強いのがわかると思います。
嬉しいけど恥ずかしいから少しだけ謙遜したつもりがなんだか微妙な空気になってしまった、素直にお礼を言っただけのはずなのに何故か相手がよそよそしい、なんてときにはまず自分がどういう表情で受け答えをしているかを気にしてみましょう。
誤解を招きやすい人は、表情・喋り方・内容の情報を一致させることを意識してみると改善されるかもしれません。
タイミング
次に意識したいのは『タイミング』です。
謙遜するにしても素直に喜ぶにしても、答える “間(マ)” 次第で印象がだいぶ変わります。
a. 謙遜「(食い気味に) そんなことないですよ」
b. 謙遜「(少し置いて)……そんなことないですよ」
c. 素直「(食い気味に) ありがとうございます」
d. 素直「(少し置いて) ありがとうございます」
印象がだいぶ変わってくるのを感じませんか?
ここに先ほど述べた表情や喋り方が入ってくると複雑さはかなり増します。誰だって、自分が意図しない影響を与えていても不思議じゃないですね。
『表情』と『タイミング』。
意図せずおかしな空気になってしまう人は、まずこの二つを意識してみてください。
“褒め” なんて急にくるもんでは?
日常ではそうだね。ただし、ある程度褒められる可能性が高い場所があります。後ほど、練習法で紹介します。
5つの返し方から客観力を身につけよう
それでは具体的な返し方です。
とは言っても、個人の性格や状況によって無限にある物を全てを書き出すことはできません。いくつかのパターンと可能性から、自分の実際の受け答えを客観視する力が増えたらなと思います。
ちなみにあくまで相手が素直に褒めてくれている時の返し方です。嫌味を言われた時などはまた別の機会にご紹介します。
パターン別5つの返し方
- 1 素直に相手の言葉に乗る
- 2 謙遜・自慢
- 3 自分の喜び・相手への敬意
- 4 時期や運を強調する謙遜
- 5 情報から事実のみで受け答える
素直に相手の言葉に乗る
「ありがとうございます。そうなんですよ、もっと褒めてください」
5つの中で一番素直でシンプルな返し方ですが、そこに何か足そうとすると応用力が問われます。謙遜だけでは損だな、もしくは親しくなりたい相手に対して一段階ユーモアを返したいときに使います。
ハードルが上がったりそのまま相手からの評価も素直にあがりますが、自己評価が低くそういうのが苦手な人は素直には返さないほうがいいかもしれません。
謙遜 and 自慢
謙遜が一番しっくりくるんだけど謙遜だけだと卑屈にみられたりかえって相手に気を使わせそうだな、と感じる人には合うかもしれません。
ポイントとして ” 誰々さん” の話題に移ろうとすることで自分のハードルが若干上がりにくくなるというメリットもあります。しかし、間に注意しましょう。焦って食い気味に「全然です誰々さんのおかげです」と繋げてしまうと卑屈さが増します。
自分の喜び and 相手への敬意
謙遜はしたくない、かと言って喜びすぎて自分だけ注目されるのも嫌だという人はこんな返し方もあります。ただし注意点として、台詞と言い方、表情の一致が絶対です。緊張でもしてうっかり無表情で言おうものなら、相手に対して嫌味を言っているようになってしまいます。
時期や運を強調する謙遜
ある程度近しい人に自分や身内が褒められたときに使います。一定の関係性があるなかでの謙遜なので、そこまで卑屈には取られません。
反面、例えば自分以外の仲間の成功を、外部のまだ関係性があまりない人に褒められたときにはこの返し方はやめましょう。下手をすると褒められた人の顔に泥を塗ってしまったり、あなた自身が心が狭いと受け取られかねません。
情報から事実のみで受け答える
どこにも波及させず、謙遜も大きな喜びもしない答え方です。「今回は頑張りました」の部分に疲労感や達成感を含ませると、自身のハードルはあまり上げずに済む可能性があります。ただ、淡々と事実を伝えるので表情と言い方で情報を補う必要があります。淡々と伝えてしまうとどんな印象を受けるか、声に出して確認してみましょう。
2度と行かない場所で褒められよう
それでは最後に、普段咄嗟に返せるようになるために経験値を積みたい人のためのお話です。
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高確率で褒めてくれて、
お金がかからず、
相手との関係性を気にすることもない……
それは様々な「体験講座」です。
無料体験を通して入会を進めてくるタイプのものから、有料で単発の各種体験講座まで、自分がその内容に関して初心者であればあるほど相手は高確率で褒めてくれるでしょう。
そのとき、どんな人に、どんな返しをしたら、どんな反応が返ってくるのか。コミュニケーションの練習にはもってこいの場所です。また、会話が達者な人、軽い気持ちで相手を褒めることができる人はどういう言葉選びをするんだろうという勉強にもなります。
もし失敗してもその場限りです。会話を反省し、二度と行かなければいいのです。もうその相手と人生で会うことはないでしょう。
私生活で失敗したくなく、自分だったらこう答えるだろうな、この空気このタイミングこの表情でこう答えたらどうなるんだろうな、などの細かい情報をいち早く知りたい人は一度おためしください。ただし相手の迷惑にならないよう細心の注意と敬意を払いましょう。
最後に
今回は少しボリューム多めになりました。
話し方というのは経験の積み重ねでしかありません。
僕も日々勉強の毎日です。
しっかりアンテナを張って、一つ一つ積み重ねていきましょう!