なんだか毎日落ち着かない。
余計なことを考えたくない。
そんな人に読んで欲しいお話です。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。
普段はプロや歌の専門学生、その他夢を追いかける人たちと毎日レッスンしています。講師業を始める前は自分も事務所を通して声優俳優・音楽活動を経験してきました。
『今回のテーマ』
・不安の96%は起こらない
・悩むことと考えることは違う
・心配事に囚われないために
今回は心配事についてです。
誰だって辛い時や不安になる時はありますよね。そこまでいかなくても “ちょっと気になる”、気になった結果目の前の仕事に集中できないという経験は誰しも一度はあると思います。
特に『余計な』心配事は心にも体にも負担が大きいです。必要以上の心配事に囚われず、自分のやりたいことや集中したいことに取り組めるようにするにはどうしたらいいでしょう? 是非最後までお付き合いください。
不安や心配事の96%は起こらない
まず研究結果として知って欲しい情報があります。それはアメリカ・ミシガン大学で行われた研究です。これによると、
②残り20%のうち8割は準備していれば対応可能なもの
だそうです。
とは言ったものの、実はこちらの情報に関しては根拠となる情報や論文等が簡単なキーワード検索では出てきませんでした。代わりにもう一つの情報をお伝えします。
シンシナティ大学のロバート・リーヒ氏によると、
計算すると、なんと97%もの心配ごとが、とり越し苦労だったことになる。 ”
(yahooニュース『日本人の7割以上が「何かに不安」だが、心配するだけムダっぽい』より引用)
アメリカ認知治療研究所の創設者で国際認知療法学会会長のリーヒ氏によるお話で、結果として97%の不安は心配するだけムダと言い換えることができるでしょう。こういうデータがあれば、先にあげたミシガン大学の研究とやらもあながち間違いではないと言えるでしょう。
残りの3%は不安かつ自分ではどうしようもないことと読み替えることもできるこの報告。どうしようもないのなら気にするだけ仕方ないですね。今のあなたが無視できるできないかは別として、まずは『不安に気を取られるより自分のためになることにエネルギーを使ったほうがいい』ということを覚えておいてください。
不安の注目すると不安なことばかり見えてくる
そもそも、人は “見たいものを見る” 生き物です。
ごめん、ちょっとわかんない。
人で言うと例えば新しいスマホが欲しくなった時。そろそろ買い替えどきだなぁなんて考えていると、漠然と他人のスマホに目がいったり、いつもは気にしていなかったテレビCMでスマホの情報がやたら目についたりしだします。
これはキーワードに脳が引っ張られてアンテナを張っている状態です。
新しい車だったり、洋服だったり、その他何にでも当てはまります。当然、不安を意識すると不安に関する情報ばかり目についてしまうでしょう。
心配事の97%は起こらないもしくは解決可能なものです。気にしない、もしくは解決方法に意識を向けることが大切です。
不安や心配事で集中力が欠けると損をする
気にしても仕方がない情報ばかりを気にしてさまようこと、目の前のことに集中して取り組めないこと、これを『マインドワンダリング』と呼びます。いわゆる “心ここにあらず” の状態ですね。
2016年にNHKで放送された情報によりますと、人は生活時間のうちの47%もの時間をこのマインドワンダリングで消費しているそうです(2010年ハーバード大学、マシュー・キリングスワース)。
また、同氏の研究によると一つのことに従事している時でも、30%は散漫な状態にあったとされています。
悩むと考えるは違う
『悩む』ことと『考える』ことは全くの別物です。
悩むというのはぐるぐると不安を繰り返すこと、考えるというのは不安を取り除くためなどの方法を探すことです。
あなたが不安を取り除きたいのであれば、悩むではなく意識的に考えなければいけません。悩んでいるという状態は問題に向き合っているようで向き合えてはいないのです。
今回お話ししたことと併せて考えると、悩んでいるというのは “悩み” そのものに注目している状態です。そして考えるというのは “原因” や “解決法” に注目している状態。意識しているポイントが違うので当然集まってくる情報や情報を拾う自分の視点も変わってきます。
悩むくらいなら沢山考えましょう。
不安や心配事に囚われない対処法
それでは以上を踏まえ心配事に囚われないように『考える』、解決に向けて行動する方法のご紹介です。ポイントは大きく3つあります。
・消そうとせず認める
・紙に書き出す
・マインドフルネス瞑想
①不安の感情は消さずに認める
不安は否定したり消そうとするとむしろ増えます。
消そうとするのはある意味そのことに集中している状態だからです。
感情は一度認めましょう。
不安になっているな、落ち着きがなくなっているな、怒っているな、悲しんでいるななどまずはありのままの自分の感情を認識し受け入れることが大切です。一度認めて受け入れると拡大しづらくなります。そして認めた上で、次に『考える』ために積極的に客観視するように努めます。それが次の②です。
②紙に書き出してみよう
頭の中で考えられる人も紙に書き出してください。
書き出すと紙に書いた『不安』とあなた自身に物理的な距離が生まれます。外部の情報を目で認識してそれについて考えようとするため頭の中で考えるよりも客観的に物事を判断しやすくなるのです。
“岡目八目” という言葉があるのですが、意味は『当事者よりも第三者のほうが物事を客観的に正しく判断できるということ』です。
自分自身の悩みではなく、紙に書き出すことで誰か知人友人の悩みのように捉え、それを解決するために一緒に考えてあげる・アドバイスをしてみる、というスタンスで行動してみましょう。必死に頭の中で考えるよりもいいアイデアがひらめくかもしれません。
③マインドフルネス瞑想に挑戦
最後に3つめ、瞑想です。
そういう意見もあります。
怪しければ難しく考えなくて大丈夫です。単純に『集中力を高める練習』くらいの認識で大丈夫です。スピリチュアルでもなんでもなく、グーグルなどの大手企業でも研修の一つに取り入れられているくらい科学的なトレーニングです。
・リラックスした姿勢で
・ゆっくり呼吸(5秒吸って10秒吐くイメージ)
・余計なことを考えたら考えた事実だけを受け入れてまた呼吸に集中していきます。
呼吸の安定とリラックスは自律神経のコントロールにもつながります。初めのうちは1〜3分集中するのも大変かもしれませんが、これは立派な訓練です。正しく繰り返していくうちに10分20分と長時間でもできるようになっていきます。
瞑想が上達すると切り替えが上手くなる
そして瞑想は集中力を高めるだけでなく、初めにお話しした心ここにあらずの状態(マインドワンダリング)の改善にもつながります。
2018年に発表された日本の研究『マインドワンダリングからの復帰に要する時間の瞑想経験による変化』によると
と結論づけられています。
瞑想は今この瞬間に集中する訓練です。結果として気持ちを切り替え、余計に悩まない状態にスイッチしているので余計な心配事に囚われる時間を減らしているとも言えます。
もちろんただ切り替えただけでは問題の根本解決にはならないので、日常生活はしっかり切り替えて送れるようにし、悩みや不安自体は『考える』ことに集中することで解決方法を探る必要があります。
自分で解決できる問題とそうでない問題もあるので、集中して考えることでしっかり見極めましょう。自分ではどうしようもない問題に関して考えたり、悩んだりするのはいろんなことの浪費でしかありません。
心配事は誰にだってある
今回は心配事についてお話ししました。
不安なこと、心配事は誰にだってあります。そう見えない人がいるのは、人によって情報の受け止め方や考え方、処理の仕方が異なっているからにすぎません。
そして悩みは結局本人にしか改善できません。
歯医者に通うように椅子に座っているだけで誰かがなんとかしてくれるようなことはないのです。
一つ一つ冷静に考え、取り組んでいきましょう。あなたの心配事が少しでも減っていきますように。