音声配信を始めてたい、やっている、悩んでいる人のためのお話です。これを意識するだけで、滑舌もトークスキルもなくても一段階配信のクオリティが上がります。当たり前のようで意外に実践できている人が少ない部分なので、是非この記事を読んで挑戦してみてください。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
マイクとのお付き合い歴としては、全国CMのナレーションや企業広告の吹き替えアテレコ、ゲームのキャラクターボイスなどのお仕事を経験してきました。
最近は生徒の中にも事務所の所属を目指さず、ネット配信等を通して活躍していこうという人が増えています。活躍の場所も、録音したものを配信するものやライブ配信をメインとするものなどたくさんありますね。
話し方や内容についてアドバイスを求められることもあるのですが、それはもちろんのこと、それより先に意識したほうがいい問題として『距離感』があります。今回はここをお話ししたいと思います。
喋り方や印象で悩んでいる方は併せてこちらもチェックしてみてください。
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マイクに向かって声を入れない
マイクは音を拾う装置です。
マイクに向かって喋ってしまうと、それはそのままその距離感でリスナーに話しかけていることになります。
絶対にダメというわけではありません。
配信している人が好きで、その人の声を聞きたいという人には独り言だろうが距離が近かろうが関係ありません。また、耳元で囁かれているような感覚が好きな人もいますし、トークが上手ならそんな壁は簡単に超えていけるでしょう。
大事なのは、ほとんど無名の一般人が、録音環境、滑舌、トークテーマといった部分にそれぞれ課題が多く残っているのにその距離で当たり前のように一方的に話してしまっているという現状です。
ノイズが乗りまくってサーーーっという音がずっと聞こえる、発声等に問題があるなどといった配信は決して聴き心地がいい状態とは言えません。しかも初見だった場合話している人はよく知りもしない赤の他人です。
そんな人に30cmくらいの距離感でずっと一方的に話をされたらどう感じるでしょうか。目の前に知らない人が立っていると想像してみてください。距離感が近いだけでも落ち着かないですが、さらにその距離で話してくるわけでもなく終始独り言を呟かれたらどう感じるでしょう?
目安としてテーブルを挟んで話しているくらいの場所に声を届けよう
実際にテーブルを挟んだり、同じ空間で友人と会話している距離を思い出してみましょう。イメージとしては50cmから1mくらい先の人物に話しかけるようにしてみるだけでもだいぶ聞こえ方が変わって聴きやすく、素人っぽさから一歩抜け出した『番組っぽい』配信に聞こえます。
イメージが苦手なら対面にぬいぐるみや声を掛ける対象物を置いてみる
想像してその距離感を作るのが難しければ、目標地点にぬいぐるみでも人の写真でもいいので置いてみて、それに向かって話しかけましょう。
ヤバい奴と思って抵抗があるかもしれませんが、聞いている人からはそんなことわかりません。何より距離感が程よくなれば聴き心地の良さしか残らないのでぜひ挑戦してみてください。
実際のラジオ番組でも、エピソードトークをする時にブース内に黙ってスタンバイしている作家さんに話しかけたり、ガラスを通してブースの外のスタッフさんに話しかけている人はたくさんいます。その距離感が『っぽさ』を生み出すのです。
個人に話しているのか、複数人に話しているのか
距離感の次はもう一つ。人数です。
ひとりに向かって話しているのか、複数人に向かって話しているのかでもやはり聞こえ方が変わってきます。
こちらも絶対の正解はありません。
何度か録音してみて、どう聞こえるか、どのような雰囲気の配信が好きかなど選んでみてください。個人配信の醍醐味は主演も脚本も演出も全部自分で決められるという点です。時間の許す限りこだわってみましょう。
目の前にいないコラボ企画やユニット配信の時こそ距離感を意識する
最近はテレビでもリモート収録が増えてきました。
うん。まぁ合成だけがリモートというわけではないけれど。
番組によってうまいこと編集することでお互いの遠さを全く意識させないものもあれば、わざと合成を際立たせて演出しているものもあります。リモートは演出次第で演者同士を近くにも遠くにも感じさせることができるのです。
そしてこれは配信でも同じです。
お互いの音量が揃い、声を掛ける距離感が揃うとリモートっぽさが消えます。ほんのちょっとした意識の差で配信のクオリティがグッと変わるんです。ぜひ試してみてください。
最後に
今回は音声配信をする時に意識したい距離感や対象についてお話ししました。
誰でも気軽に配信できるようになった分、宅録環境にも差が出てしまうのが現状です。
なんとなく配信してなんとなく聞いてくれる人が増えていけば一番楽しいですが、より良いクオリティを求めているかたは是非挑戦してみてください。
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