どうすれば上達するんだろう
そんな人に読んで欲しいお話です。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。
普段はプロや歌の専門学校の学生と一緒にレッスンをしています。
講師業をする前は事務所を通して声優や俳優、音楽活動など幅広くお仕事を経験してきました。
『今回のテーマ』
・上達の秘訣は “守破離” にあり
・型を学べば選択肢が増える
・好き嫌いよりもまず踏み出そう
今回は歌唱力上達の秘訣として『守破離(しゅはり)』というものをお話します。
すぐにお話しますが、守破離とは古くから伝わる日本の武道や芸事を進化・発展させるために示され続けてきた3段階のプロセスのことです。
若干僕自身の解釈が入ってきますが、古くから今に至るまで支持されてきたということはそれだけ多数の人に “効果あり” と信頼されてきた証でもあります。
僕自身が大きく変化したきっかけも、今思い返せば守破離の考え方に当てはまると思います。一つ一つお話ししますのでぜひ最後までお付き合いください。
歌唱力上達の前準備・守破離とは
先ほど軽く触れましたが、まずは守破離の意味の確認です。本来の意味を説明した上で、素晴らしい考えながらも、僕なりに疑問を挟みたいと思います。
・守破離とは
『日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している。』
守
流派だったり師匠であったりの教えを忠実に守り、まずは基本を身に着ける段階です。学んだことをその通りにやってみようと挑戦するということでもあります。
破
忠実に身につけ守ってきたものを疑ったり否定したり、自分なりに新しい考え方や技術を取り入れる段階です。自分らしく表現をするために型を『破って』いきます。
離
経験を活かし、自ら新しいものを作り出す段階です。オリジナル作品であったりオリジナル流派であったり、今まで教わり学んできたものから『離れて』自分だけの道を進んでいきます。
守破離は繰り返す
基本を学んで、自分なりにアレンジして、独立する。
言っていることは理解できます。
1000人以上の生徒とレッスンをしてきて間違いはないと思っています。
しかし、
独り立ちし、基礎から離れたらそれでおしまいでしょうか?
それはあくまで大枠の話ですよね。
実際はそこに何かしらの問題が訪れます。
小さな問題大きな問題、自分だけで解決できる問題とそうでない問題。様々です。
< 質問 >
この中で、『自分だけで解決できない問題』が出てきたときはどうするでしょうか? 誰かに相談したり、書籍やネット検索、youtube検索などをすると思います。誰かから型を学ぶことをなんと言ったでしょう?
大正解!
教えを守って型を身に着けること、基本を学ぶことは守破離という考え方の『守』になります。結局 “守破離” とは大枠でもあり、小さい部分では何度も繰り返す部分でもあるのです。
①歌唱力上達のためにはまず離から守
それでは上達のための考え方についてお話ししていきます。
守破離は繰り返すというという視点に立つと、『守』の前に『離』があると言えます。
ここでの『離』とは『自分の固執している考え方や身体の使い方から離れること』を指します。
ある意味上達する人しない人の一番の違いはここにあるかもしれません。
僕自身、昔は1オクターブも声が出ないほど発声に難を抱えていました。しかもそんな人間が上京し、誰もが知っている事務所の養成所の門を叩いてプロを目指そうとしたのです。
謎の自信があったんだと思います。レッスンで様々なことを教わっていても『理屈はわかるけど自分がやりたいのはそんなことじゃない』みたいな感じでなかなか行動に移しませんでした。
しかしある日伸び悩んで同じことを言われ続け、限界がきます。
売られた喧嘩を買うよう感覚で、『言われたことをやってやろう。やった上で合格をもらって、その上で “こんなことできても大したことない” って言ってやろう』と奮い立ちました。
……みるみる上達していって、今では人に教える側です。
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②歌唱力上達のために守から破
『守』に挑戦したら次は『破』です。
ある程度基本を身につけたら自分なりに表現にこだわりましょう。
基本は守にこだわった方が基礎力は身につくと考えています。大きな枠で言えばまだまだ『守』の段階です。
しかし、学んだ上でそれを自分なりに解釈し、自分の歌や表現に取り入れるのは結局あなた自身の感覚、『破』とも言えます。
適切な講師がいると変化が怖くない
その際余計な力みが増えていないか、効率の悪い身体の使い方を加えていないか、身近にそれを聞き分けてくれる先生がいると話が早いです。変化に挑戦しても適切に導いてくれるので失敗は少なくなります。
逆に自分一人でやっている場合。ほんの少し慎重になる必要があります。
まずは好きなアーティストを徹底的に真似してみましょう。徹底すればするほど、がむしゃらに歌うよりは良い発声に近づいていきます(あなたの発声に大きな問題があり、真似するアーティストの発声がある程度効率の良いものとした場合)。
こういう使い方をすればこうなるんだという選択肢が増えることはあなたの視野をさらに拡げます。
広がった視野で挑戦してみたいことを見つけ、また基礎を学んだり自分なりに変化・挑戦させていくことを繰り返すと、あなただけの引き出しがどんどん増えていきます。
③歌唱力上達のために破から離・そして守
ある程度クオリティが上がり、自分なりのこだわりも見えてきたら『破』から『離』の時期です。
例えそれが喉に悪い発声でも、太く短く生きたい、どうしても一瞬そういう表現・音を加えたいというのであれば、講師は危険性を説明した上でどうすれば限りなく負担をかけない方法でそれを再現するかお手伝いすることになります。
プロの中にもそういう人はいます。
喉をぐっと閉めて、明らかに負担のかかった悪い発声をしたのちで開放的な綺麗な響きに切り替えると感情解放や音の広がりが綺麗に聞こえる、と言ってわざと負担をかける使い方をするアーティスト。
しかしそれでも声帯結節ができて手術したりと苦労しています。
ボイストレーナーとしては決してオススメしない身体の使い方ですが、アーティストとしてこだわりがあって、お金を動かす大人たちと相談・合意の上やっているのであれば止めることはできません。
ここまで極端な例でなくとも、自分なりに表現にこだわりを持つことはとても大切です。
自分の表現は大切にしましょう。その上で問題が出てきたらまた『守』に戻れば良いだけなのです。
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歌が成長しない人は好き嫌いだけで何もしない
ここまで歌唱力向上のために守破離をテーマにした考え方をお話ししました。
その上で逆に成長しない人です。
成長しないのは①の時にお話しした僕のようなタイプです。
成長しないタイプ
・自分のこだわりはある。
・上達したいと言いつつ指摘されるても試しもせず否定する。
・指摘されたことを重要視せずその癖理想だけは高い。
こういうタイプの人は成長しづらいです。
同じ身体の使い方をしている以上同じ結果しか生まれません。
何かが邪魔をしているなら邪魔をしている何かをやめなければいけません。
一つ一つ自分を冷静に観察して、『守破離』の意識で練習に取り組んでみてください。
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