占いが好きでよくいろんな占いをチェックする。最近みてもらった占い師にショックなことを言われて気にしている。そんな人はこの情報を知っておくだけで、向き合い方が変わるかもしれません。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
今回は占いで精神が不安定になりがちな人に、いくつか知っておいて損はない考え方を『話し方講師』の観点からお届けします。
占いは好きですか？
僕も好きです。
毎日細かくチェックしたりはしないのですが、年が変わるたび、もしくは上半期下半期あたりで様々な占い師の方が無料で占ったりしてるのをいくつか見たりします。
そんな中で、不安なことが書かれているとあなたはどう感じますか？
落ち込んだり、焦ったり、何くそとやる気になったり、反応は様々だと思います。
占いに振り回されないためにも是非、この記事を読んでみてください。
（今回のテーマは占い全体の否定ではなく、”怪しい占い” や ”盛った”占いのような人物・団体が使うテクニックとそれを知った上で占いを楽しむ考え方のお話です。占い業界全体を差別・忌避する意図は一切ありません）
・人は自分が信じたいことを信じる
・見方を変えて、信じたいものを “調整” しよう
占いを楽しむ上で知っておきたい用語 “コールドリーディング” “バーナム効果”
さて、この２つの単語を聞いたことはありますか？
簡単に説明すると、コールドリーディングとは自分を信じさせたい時に使う “話術” のことです。営業の人が商品を売りたい時にお客さんをその気にさせるのも、詐欺師が相手を騙す時に使うのも基本は同じです。
そしてバーナム効果は『誰にでも当てはまるような情報をさも特定の人物や団体に当てはまるように捉えてしまう』心理学の用語・現象です。
二つを使った質問の例
まずは下の三つの情報を読んでみてください。
これがバーナム効果の一例です。
今は冷静さがあるので「そんなの生きてりゃ誰だって多少なり当てはまるじゃん」と思うかもしれませんが、ここに『よく当たる占い師、断定口調などの自信に満ちた言動』などの要素が入ってくると ”言い当てられている” と感じる可能性が高くなってきます。
そしてこの “言い当てられた” という感覚が相手への信頼につながっていきます。バーナム効果他様々な話術を用いて自分への信頼を勝ち取る。これがコールドリーディングです。
会話テクニックの一例
例えばオーラを見る占い師がよく使う話し方の例としてはこういうものがあります。
「私が見るのはあくまでオーラです。そのオーラの具体的な内容はあなたの方が詳しくきっと意味がわかるでしょう」
こういった台詞により、相手に積極的な情報開示・協力を仰ぎます。ある程度占いというものに対して信頼を寄せている人、相手に自分のことを委ねている人だと高い確率で協力してくれるでしょう。
そこからさらに相手の反応を探ります。
“曖昧な質問や突飛な質問” 、
“具体性のない推測”、
これらに対して反応、情報を与えてしまうと、そこからさらに情報を引き出そうと会話を続けていきます。相手は自分で情報を開示しているにもかかわらず、気づけば占い師が信頼を勝ち取っているのです。
会話の例
占い師「勉強もおできになるはずです」
あなた「いえ、成績も悪いですしそんなことはありません」
占い師「勉強とは学校の成績だけではありません。何かに興味を持ち、学んでいく色のオーラがあなたに見えます。小さなことでも構いません。何か好きなことや得意なことはありませんか？」
あなた「そうですね。強いて言えば読書が好きで、よく本を読むくらいですかね」
占い師「読書ですね。あなたは本を読む “くらい” とおっしゃいましたが、読書だって誰もができることではないんですよ。全く受け付けない人だっています。自分の外の世界から情報を積極的に取り込んで自分の糧にできるというのは、勉強ができる人の本質なんです」
実際は相手の性格・考え方にもよるのでこんなに単純ではありませんが、こういった会話が基本として散りばめられています。探り探り “勉強が得意” という推測を入れてみて、違っても平然と会話を続ける。これは一種の話術なのです。
こうして、占いを受けている人は自分で少しずつ情報を開示していくうちにちょっとずつ、 “当てはまっている”、”この人は信用できる”、”占いって凄い”、という風な思考になっていきます。
会話のテクニックという意味では、主婦の悩みに共感しキッチングッズを売り捌く営業マンと何も変わりません。
プロの技術って凄いですね。
人は自分が信じたい情報を信じている
会話を使えないウェブサイトや誌面での占いだと推測が外れてしまった時の修正が効かないため、先ほど例にあげたようなバーナム効果の高い文章が使われがちです。
また、バーナム効果などを用いたコールドリーディングによってある程度 “この占いは当たるぞ！” という気持ちにさせられると、そこに織り交ぜられた根拠のない断定口調の情報もついつい無警戒に信じてしまいやすくなってしまいます。これもまた、会話のテクニックです。
例えば、血液型占いと性格に関しては科学的に相関性がないと否定されています。
占いで詳細や補足のように「B型の人はこの時何々と感じやすいので気をつけましょう」などと述べている場合がありますが、そこには何の根拠もありません。血液型占いという日本独特の文化がある程度根付いていることが前提で、断定口調で乗り切っているにすぎないのです。
普段何かしらの活動をしていて、上司や先輩から「お前B型だっけ？ B型はこういう場面で何々と感じやすいから気をつけろよ？」なんて言われたら「(……何言ってんだ？)」と思うことでしょう。感じ方なんて人それぞれだとわかっているからです。
しかし、占いというジャンルに踏み込んで、いくつか自分に当てはまると感じた後だとそうはいきません。いつの間にか “この占いは当たる” となっているので、血液型から性格・行動を指摘されてもついつい信じてしまうのです。それが『確証バイアス』です。
確証バイアス
難しい用語はこれで最後です。
確証バイアスとは、自分が信じたい情報ばかり集めて、不利になるような情報は無視したりする傾向のことを指す心理学用語です。簡単にいうと『人は自分が信じたいことしか信じない』というもの。
当てはまると感じて、
言い当てられたと信じて、
なら未来もきっと当たる。書いてあることは全部当たっているはず、と心を動かす。
これが占いが当たったと感じる人の基本的な考え方です。
占いを楽しもう
さて、様々な情報をお話ししました。
その上でもう１度、ネットで見られる星座占いなどを読み返してみましょう。
今回お話ししたことを前提に読み進めると、ここは誰にでも当てはまることを言っているな、ここは大多数に当てはまりそうだけど根拠のない断定をしているな、など様々な見え方をしてくるはずです。私見ですが、人気がある人の文章ほど、その複雑さとテクニックに驚かされます。
その上で、占いを楽しく利用するために、捉え方を変えましょう。
散々こういうテクニックが散りばめられているぞというお話をしましたが、根拠があろうがなかろうが、バーナム効果だろうが、人生前向きになれそうな良い情報に対しては「お、この部分は自分に当てはまっているぞ。この占いは正しい！」と自分の中の確証バイアスを都合よく働かせるのです。
オススメの使い方はこちら。
・都合の悪いことは占いで言われてた通り全部運命のせい。
・都合の良いことはいい流れに乗って自分が頑張ったから。
僕はこの考え方が大好きです。
結局人は自分が信じたいことを信じて生きる生き物。占いを信じる信じないは人によって様々ですし、科学的かどうかという議論もありますが、自分が生きる上でうまく活用できるならそれに越したことはありません。そのためにもいくつかの占いを読み比べたりすることがあります。
占いを気にしすぎる人は、誰にでも当てはまる部分や根拠のない部分も含めて『悪い部分ばかり』を気にしています。
じゃあ占いをやめられるか？
自分で判断することを避けたり、誰かに自分を委ねたりする人は占いを見ることを止めることはできません。
だったら、受け止め方、考え方を変えるしか方法がないのです。
心の拠り所は合ってもいい
占いでこう書いてあるからもうひと頑張りできる。
占いでこう書いてあるからこういう選択を決断できた。
など、心の拠り所を作るために占いを利用している人もいます。似たような形の究極の例としては宗教における「神」の存在ですね。頼りすぎはよくないですが、そういう使い方自体は決して悪いことではないと僕は考えています。
占いに頼って失敗する人、占いを気にしすぎて悪い方に転がってしまう人は、占いの使い方・向き合い方を変えてみましょう。それだけで同じ占いを見ているにもかかわらず、違う結果が引き寄せられるはずです。
最後に
それでは最後に、よく見かける占い師のメッセージを載せておきましょう。
占いは絶対じゃない。無限に変化する未来の中で一番今可能性の高い運命を伝えているだけ。あなたの日頃の行動次第で運命は変えることができる
本来は不幸な情報を伝えた相手へのフォローとして使ったり、自分の占いが外れても構わないように逃げ道を用意しておく常套句です。
ですがこれも捉え方次第。
占いが好きな人は上手く占いを利用して、自分の人生をより豊かにしちゃいましょう。