もっと感情表現がうまくできるようになりたい。
具体的な練習方法はあるのか。
そんな人に読んでほしいお話です。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。
普段はプロや歌の専門学生、その他夢に向かって頑張る人たちと毎日レッスンしています。
講師業の前は事務所を通して声優や俳優、音楽活動を経験してきました。
『今回のテーマ』
・感情表現が豊かな人の特徴
・感情表現は音にしてなんぼ
・感情表現訓練法
今回は感情表現についてです。
自分の感情を表情、音程、動作で表すことはコミュニケーションにおいてとても大切です。これは話す力にも聴く力にも応用ができます。
感情表現が苦手な人の半分はメンタル面の問題で、本来はその原因と考え方についてもお話ししなければいけないのですが、今回はそこから離れ、具体的な改善方法についてお話ししたいと思います。
さらに一方進んでより具体的な例を知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください。
言葉に抑揚がないと言われる。もっと表情豊かに話したい。そのためにはどういった部分を意識すれば良いかをお話しします。話し方における表現は大きく3つに分けられます。これらを知って、上手い人を真似したり自分なりに扱えるようになると表現の幅は一気[…]
表現は各種筋肉の使い方の結果でしかありません。基本的な連動・変化を経験して引き出しを増やしましょう。ぜひ最後までお付き合いください。
感情表現が豊かな人の特徴とは
まず初めに、ゴールの確認です。
表現が豊かな人って一体どいういう人たちでしょう?
うん。正解。
これも感情表現がしっかりできている人の特徴です。(なおここでは感情を抑えてしまう人にむけてお話をするので、自己主張は問題なくできるけど感情表現が乏しい、もっと表現力を身につけたいという人は訓練法までお進みください。)
喜怒哀楽をためらわない
伝える手段や頻度が多い
大きな枠で分けるとこの2つでしょうか。当たり前のようですが一つ一つ確認します。ゴールを知ることは目標に向かって迷わず突き進むための大切な要素です。
1・喜怒哀楽をためらわない
感情表現が豊かな人は、ある程度 TPO に合わせて空気を読みつつも自分が発信したいものをためらわず、あるいはためらってもちゃんと主張します。
一方で感情表現が苦手な人は、単純に表現の仕方がわからない人を除くと気を使いすぎたり何かを恐れたり不安になったりした結果自分を抑えている人がほとんどです。
細かくみていくとメンタル面の話になってしまうので割愛しますが、簡単に大枠を話すと、相手の問題と自分の問題をきちんと区別できているかいないかの差だと言えます。
自分と相手の問題を区別する
もちろん空気を読まなければいけない場面もあるでしょう。しかしみんながそれぞれ正直な意見を交わし合っているとき、誰かに気を遣って本来必要な発言まで我慢してしまうのはよくありません。
あなたに相手を不快にさせる意図がない限り、あなたの発言で相手が不快になるかどうかは相手の問題です。
感情を押し殺してしまう、言いたいことが言えないタイプの人はここがごちゃ混ぜになっています。気づけば声に抑揚がなくなり一本調子になっていき、感情がわからないと言われてしまうような話し方になってしまいます。
そんな人に必要なのは感情を抑えることではなく、しっかり主張することと、そのための技術を学ぶことです。
2・伝える手段や頻度が多い
感情表現が豊かな人は直接的に、あるいは間接的に、そして一度でなく何度も主張を繰り返すことができます。
当たり前ですが心の声が聞こえるわけではない以上、人はお互いを完全に理解し合うことはできません。
だからこそ、伝えるためにはよりたくさんの情報が必要になります。伝えようと努力し、何度も何度も発信することで結果的に気持ちや考え方が伝わりやすくなるのです。
感情表現は音にしてなんぼ
そして大枠から離れ一番大切な部分。
感情表現が豊かな人とそうでない人の明確な違いの一つは『音の変化』です。
感情表現が薄い人は音の抑揚が小さい、淡々としているというのは誰しも納得ができる部分だと思います。
感情の表現、そこからくる自分が言いたい部分の強調などが加わると本来は大なり小なり音が変化します。声が大きくなったり小さくなったり、音が高くなったり低くなったり、具体的な変化の例に関しては関連記事を参照ください。
言葉に抑揚がないと言われる。もっと表情豊かに話したい。そのためにはどういった部分を意識すれば良いかをお話しします。話し方における表現は大きく3つに分けられます。これらを知って、上手い人を真似したり自分なりに扱えるようになると表現の幅は一気[…]
言葉を伝えても感情が伝わらない例
<考えてみよう>
例えば、みんなでご飯を食べに行ったとして、すごく大人しい人が無表情で淡々と次のようにお礼を言ってきたとしたらどうでしょう。
「今日の食事会すごく楽しかったです……こんなに楽しいの初めてでした。……ありがとうございました」
セリフは感謝を述べています。しかし、無表情で淡々と言われてしまった場合『本当に楽しかったのかな?』『かえって気を遣わせたかな?』なんて思ってしまう人もいるでしょう。
表現は『表に現れる』と書きます。
どれだけ本人が心から食事会を楽しんでいて、どれだけテンションが上がっていようとも、相手に伝わらならければそれはすごくもったいないですね。
言葉が少ないのに感情が伝わっている例
次の文を読んでみてください。
「ねぇねぇこれ買っちゃった!! ヤバくない!?」
「ヤバい! お金貯まったんだ? ヤバいね!」
「うん。でもこれで貯金ゼロ、本当ヤバい…」
「うわー……それはヤバいねー」
最近はあまり使われなくなりましたが、一時期「ヤバい」という言葉が何にでも使われている時期がありました。
言葉数はとても少ないです。何にでもヤバいを使っているのですから。
しかし文脈であったり、同じ言葉を使っている時のテンションや表情から相手の感情を理解し、同じテンションになることで共感をアピールするということに成功しています。一概にこれがいいコミュニケーションかと言われれば難しいところですが、学ぶべきところはたくさんあります。
感情表現が苦手な人の訓練法①音の高さ
それでは具体的な練習方法です。
感情表現が苦手な人は、変化に慣れることが大切です。
実際にどれくらい使うかは人によります。大切なのは実際に変化に挑戦できること、引き出しを増やすことです。
音階練習で感情表現に慣れよう
発声練習の音源をそのまま使っているので少し速いですが、男性は1オクターブ下から始めて最後まで、女性は音の高さから始めて音声の3分の2くらいまで挑戦してみてください。一音ごとに「あいうえお」と喋って音の変化に慣れましょう。
あいうえおで慣れたら「こんにちは」など短めの言葉でも練習してみてください。
音の高さの変化に慣れる
音源通りの音程でなくても構いません。自分の出しやすい声の高さから同じノリで何段階か声を高くしていきながら言葉を発してみてください。
ボーカリストを目指しているわけではないので上手に言える必要はありません。
大切なのは音の高さの変化に慣れることです。
どれだけ不自然でも、まずは感情や伝えたい言葉の強調によってある程度 “音が変化する” という引き出しを経験します。この段階では不自然だとかの意識はなるべく無視してください。
音の高さに正解はない
また、感情表現を音の高さで表す時、どの音の高さが正解かという決まりはありません。それは喉の形も身体の形も人それぞれ違うからです。
それでも実際低い声やゆっくりした声が威厳や落ち着きの印象を与えたりと、音の高さや速さというものは表現に大いに役立ちます。
まずは音の変化を受け入れ、慣れてください。
音の変化が単に喉やその他筋肉のバランスの変化でしかないことがわかれば、徐々に違和感は減っていきます。
感情表現が苦手な人の訓練法②表情
音の高低の変化という引き出しを手に入れたら、並行して音の大小もにも挑戦してみましょう。何かを強調するときにしっかり大きく伝えたり、わざとヒソヒソ声で小さな音にしたりたくさん幅を作ります。
そしてある程度音の変化に慣れたら、次は表情です。
鏡を用意して、自然でなくていいのでまずは2つ、嬉しそうな顔・辛そうな顔を作って同じセリフを喋ってみましょう。
感情表現の例文「あー疲れた」
例1:仕事が片付いて嬉しそうに「あー疲れた」
例2:仕事がまだまだ山積みで辛そうに「あー疲れた」
それぞれの例文を表情を作って読んでみましょう。大袈裟にやればやるほど最高です。
表情の変化は共鳴の変化、結果的に『それぞれの感情に適した音』に寄っていきます。
話し方のトレーニングはスポーツと違って、”やろうと思えば当たり前にできる”、”こんなことが本当に意味あるの?” といったものがたくさんありますが、簡単だからこそとても奥が深いです。自分のゴールをしっかり見据えて効率よく挑戦してみてください。
初めは誰だって不自然だし極端
感情表現が苦手な人ほど、全くと言っていいほど変わらないか、殻を破った瞬間とても大きな表現が生まれがちです。
しかし、このぎこちないながらも大きく極端な表現に挑戦した時、邪魔してくる人がいます。それが周りの『良かれと思っていう忠告』です。
「なんか変わった?」
「頑張らなくてもいいんだよ」
「急にどうした?」
こんなことを言われた瞬間、恥ずかしいやら気まずいやらでまた殻に閉じこもってしまう人がとても多いです。
あなたの問題、私の問題
ここで思い出して欲しいのが最初のテーマです。意識的か無意識的かは別にして、『感情表現が豊かな人は自分の問題と相手の問題をきっちり分けて考えています』。あなたが恥ずかしさやらで気後れして挑戦をやめてしまったら、それはその人のためにあなたの感情を封印したのと同じです。
初心者はぎこちないのが当たり前です。
繰り返していくうちに自然に、スムーズになっていきます。
あなたが変わりたいと思ったならその大切な気持ちはなくさないでください。練習すればするほど変わっていけます。
1日の終わりに30秒の動画を撮って苦手を克服しよう
今回は感情表現が苦手な人の克服法として音程変化に慣れる、表情変化に慣れるという練習方法をご紹介しました。
もうひと頑張りできる、もっと練習の効果を上げたいという人は1日の終わりにスマホで30秒ほどの動画をとりましょう。その日1日あったことを自分なりに感情表現しながらスマホの前で語ります。
動画を確認し、自分なりにもっとこうできるな、もう少しこう言えるなと言ったことを考えながら翌日またチャレンジします。これを繰り返すだけでも人によっては結構変化が生まれます。
魔法のようにいきなり変化することはほとんどありません。焦らず、だけど確実に練習していきましょう。
よく何を言っているかわからないと言われる。もっと伝わる話し方をしたい。原因や解決方法がわからない。そんな人に呼んでほしいお話です。こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。ボイストレーナーとして歌や話し[…]