声優を目指している人。歌手を目指している人。その他モデルや俳優などの世界に憧れている、または悩んでいる人に読んでほしいお話です。夢の世界は本当にキラキラしていて素敵な人で溢れています。そしてそこは同時にビジネスの世界です。是非最後までお付き合いください。
こんにちはボイストレーナーの入来院真嗣です。
大手の芸能事務所でお世話になっていたこともあり、テレビやラジオ、ネット配信番組や舞台、地方ライブからディナーショーまで様々なイベントを経験してきました。
今回は、そんなキラキラした世界を目指している、または目指そうか悩んでいる人にお話しします。
プロの世界が実際どんなところなのか、どういった人がプロになれるのか、何か今から頑張っておけることはないかをざっくりと書きました。早速みていきましょう。
プロの世界はただの現実
まずハッキリさせておきましょう。
プロの世界はあくまで現実世界の一部です。
同じ職業同士の先輩後輩といった人間関係の世界であり、技術や仕事を発注する側とその対価というビジネスの世界でもあります。また、舞台一つなどでも役者だけでなく音響照明衣装美術、広報やスケジュール管理など様々なプロが関わっています。
仕事として成り立っている以上そこには人がいます。
歌とか芝居とか本人のタレント性など扱っている商品が特別なだけで、行われていることは普通の社会と何一つ変わりません。
どういった人がプロになれるのか
では次に、どういった人がプロになれるのかというお話しです。
具体的な数値があるわけではないのであくまで僕の所感になりますが、自分がプロとして沢山に人に関わってきて、レッスンで自分より遥かに活躍するプロを見てきて、また目指しているものの夢破れて消えていくプロの卵を見てきて、プロになるために必要だと感じたことについてお話しします。
それは『実力』と『コミュ力』です。
・実力
言わずもがなですが、プロということは普通の人とは違う技術、魅力があるということです。容姿、歌声、演技力、ダンス、その他なんでも人並み以上の特別なものは全て『実力』です。
そして、特別なものには当然 “価値” がつきます。
芸能の世界はその “価値” がモノを言う世界です。当人の性格に何か問題があったとしても “価値” を提供することさえできれば大人は仕事を回してくれますし、”価値” の大きさによってはワガママが許される場合もあります。
気持ち良いかもね。
しかし、この場合カリスマ性でも発揮できない限りあなたはスタッフや関係者から嫌われます。スランプでも故障でも理由は何でもいいですが、”価値” が提供できなくなった瞬間に簡単に見放されるので注意が必要です。
・コミュ力
コミュ力とはコミュニケーション能力、すなわち人付き合いです。
もちろんプロのステージに立つために必要最低限の技術は必要です。しかし、結局は人と人が向き合う世界です。
以前とあるオーディションの3次審査に関わったときの話なのですが、とある芸能事務所の偉い人が急遽覗きにくることになりました。
「誰か良さそうな人いる? 15分くらいしか覗けないだろうからその前後見に行くわ」
こういうような状況になったとき、実力が拮抗していた場合結局印象の良いひとを紹介することになります。また、急遽仕事が入ったときに誰を使うかといった場面で、やはり実力が拮抗していた場合普段の人付き合いがモノを言うのは間違いありません。
スランプに陥ったり流行り廃りで一時的に売れなくなっても、周りの人からしっかり好感度を持たれていれば助けてくれることだってあります。
目指す理由はなんだっていい
以上2つが、僕の考えるプロに必要な ”力” です。
どちらもあるに越したことはないですし、どちらかがあるだけでもかなりの強みになります。
なので、目指す理由はなんだって良かったりします。
一番スタンダードな理由は “好きだから” でしょうか。
歌うことが好きだから、表現することが好きだから、これはちゃんとした理由です。
一方で “欲求や現実逃避” だって立派な理由です。
モテたい、キャーキャー言われたい、辛い現実から目を背けるために夢の世界に飛び込見たい、という人も一定数います。そういった人はたまに「こんな不純な理由でプロを目指していいんでしょうか?」と相談をしてくるのですが、
繰り返します。
理由はなんだっていいのです。
承認欲求でも現実逃避でも、強い動機はモチベーションの維持に欠かせません。
誰かに必要とされたいから技術を磨く。大勢のファンを獲得して自分が先頭で発進していくコミュニティが欲しい。今の環境からとにかく逃げ出して二度と同じ場所に戻りたくない。これらは立派な理由です。そのために『実力』や『コミュ力』を磨いてください。
プロになるために今できること
最後に、プロの世界に踏み出すために今できることをお話しします。
とはいっても具体的な技術については無限にあるので関連記事を色々チェックしてみてください。
ここではプロを目指す上で普段から意識していたいマインド、考え方について3つほど挙げたいと思います。
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あなたの思う “プロ” のレベルを考え続ける
芸事は一生勉強です。
反面、資格があるわけではないので名乗った瞬間からあなたはその職業につくことはできます。(事務所に入っているわけではない場合フリーの歌手、フリーの声優といった方が気になりますが)
なので、あなたが『これくらいで充分』と成長をやめた瞬間に天井は決まってしまいます。
あなたの思うプロはプロとして、日々どんな訓練を積み重ねているでしょう?
昨日より今日、今日より明日。プロとしてどんな成長を遂げているでしょう?
自分が毎日を無為に過ごしてしまっている場合、あなたの思うプロというのはそんな過ごし方をしていても簡単になれるようなレベルなのでしょうか?
日々少しずつで構いません。意識してみてください。
挨拶
当たり前ですが、人と人のコミュニケーションとして挨拶はマストです。
これができない人は技術や才能で相手を黙らせたり、自分の代わりに動いてくる人を味方につける必要があります。
知らない人に無理に話しかける必要はありませんが、クラスメイトや職場の人など、薄くても自分と関わりのある人と出会った場合積極的に挨拶をしてみてください。
そこから無理に雑談までしなくても構いません。まずは積極的に挨拶をする習慣。結果として人に顔と名前を覚えてもらう習慣をつけましょう。
時に自分の意見を主張する
嫌なことがあっても我慢する、多数派の決定には従う。そうやって流され続けてしまう人がいます。
そんな人は何回に一回は自分の意見をしっかり主張する癖をつけましょう。
中途半端に流されて自分の意見を言わなかった結果オーディションで中途半端な芝居や歌唱表現しかできず実力を誤解されたり、不完全燃焼になってしまう人を何人も見てきました。
自分の意見ばかりを押し付けるのも考えものですが、時には自分の意見をしっかり主張することも大切です。こういった行動は日頃の習慣がものをいうので、普段から意識しておきましょう。
最後に
プロのステージは本当にキラキラしています。その非日常感に憧れる人も多いでしょう。
しかし、その側面は全体のほんの一部です。
自分なりに何故プロになりたいのか、どんなプロになりたいのか、考えながら色々頑張ってみてください!
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