やりたいことはあるけど失敗したくない。周りに何か言われたくない。技術が身についてから、基礎力がしっかりしてから新しい挑戦をしたい。そんな人へのお話です。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
プロや、プロと仕事をするスタッフさん達のお話を聞く中で共通認識になる言葉「若いうちはどんどん失敗した方がいい」。今回はそれについてお話しします。
もちろんです。
失敗したくて失敗する人は一人もいません。
“失敗した方がいい” は、決して失敗を目指しているわけではありません。あくまで成功を目指して前向きに挑戦している時のお話です。
・”なぜ?” が経験値になる
・自分の意思で苦労しよう
若さは武器
まず一つ目。若さは様々な面で武器になります。
例えば、単純にオーディションの募集要項を見てみると『20歳以下の女性』『25歳以下の男女』など必ず年齢制限があります。夢あきらめず努力していたとしても、入り口の段階で年齢で弾かれる場合があるのです。これは間違いなく若い人が有利、すなわち若さが武器だと言えるでしょう。
また、体力面においても、無理のできるレベルが違ってきます。
若い頃は多少の徹夜でも平気だったのが一晩でもキツくなったり、個人差はありますが若くない人の方が有利というイメージは誰も持っていないでしょう。
社会人はハードルが上がる
大人は大変理論!
まぁまぁ。
単純な話で、社会人経験が増え歳を重ねていくごとに立場や求められる一般常識は変わっていきます。
若いうちや経験値が少ない状態では「まだ若いから」で許されていたものも、歳を取って同じ失敗をすると
「その年でそんなこともできないの?」
「いい歳して何やってるの?」
と判断される場合があるのです。
これは許す許さないではない、”技術” においても同じです。
どんな世界で何を何歳から始めたって自由ですが、現実問題、プロを目指すなら現場で求められる技術量というものがあります。
それはやはり若いほど少なく、そして、歳を重ねるほど多く求められるのです。
芸歴と言い換えるともっとわかりやすいですね。
芸歴一年目の人と、芸歴10年目の人、どちらが多くの技術を求められるかと言ったらそれは当然芸歴の長い人になります。
”なぜ?” が経験値になる
とはいえ誰だって失敗したくはありません。
恥ずかしい思いをしなくて済むに越したことはないのです。
しかし、
それは新しいことに『挑戦』した “後” の話です。
挑戦する前から失敗を恐れて何もしないでいると、それは現状維持、そしてそのまま歳を重ねていくことになるのでただ無為にハードルを上げていることになります。
大切なのは、挑戦し、失敗した場合、なぜ失敗したのかという部分に当たりをつけ自分の経験値にすることなのです。
逆上がりができない子供
小さい頃、鉄棒で遊ぶ子供は逆上がりをやりました。
助走をつけてえいっと飛び上がりなんとか逆上がりをしようとするものの、できる子とできない子がいたものです。
できない子は周りの人が助けてくれます。もっとこうしたらいいよ、もっとああしてみたら?とアドバイスをくれます。
しかし、失敗するのが嫌・恥ずかしい思いをするのが嫌という子供はジャンプしません。
助走をつけて二三歩動き出すけど、飛び上がる前に自分でブレーキをかけて足を止めてしまいます。これでは一生逆上がりはできるようにはなりませんね。
どんなに有意義なアドバイスをもらっても、アドバイスを受けた本人がその前でブレーキをかけて止まっていては意味がないのです。
失敗することは嫌ですが、大切なのはチャレンジしてなぜ失敗したか。そこにアドバイスや自分なりの考えが入り込んで再挑戦した時、人は変化し、成長するのです。
これを考えないことには成功に近づくことはないでしょう。
まとめると
・挑戦する癖をつける
・失敗したら”何故?”を考える
・改善して再挑戦する
・初心者であるほど周りが助けてくれる
ということになります。
言われてみればすごく当たり前なんですが、言葉巧みに自分すら騙して行動に移さない人は多いです。プロの世界においてその大多数は、特別な少数になれずに消えていくことになります。
苦労は自分でするもの
似たような言葉でよく、若い時の苦労は買ってでもしろ、と言われることがありますがこれは半分正解で半分間違いだと考えています。
理由は簡単です。誰が言うかが大切だからです。
例えばこのセリフ。
お客様を神様に喩えるのは商売をする側の言葉です。
買う側、お客さんが「なんだその態度は! お客様は神様だろう!」なんて怒っているのをたまに目にしますが、これは不適切ですね。
小さな子供に何か被害を受けた、例えば服にアイスをこぼされたとして、この言葉を使っていいのは被害を受けた側です。
これも、たまにその保護者が使っている姿を見ますがおかしいですね。
同じように、このセリフは間違いではありません。しかし、この言葉を盾に何か苦労を強いる人には気をつけましょう。
このセリフの苦労とは自分なりに何かに挑戦した時の “失敗” だと考えています。
理不尽な精神論に付き合う必要はありません。
最後に
誰だって失敗はしたくないものです。
しかし、だからこそ、失敗した時には転んでもただでは起きない精神が必要になってきます。何かに挑戦して、絶対につまずくような箇所があるのなら、早めに潰しておきましょう。