これからボイトレを受けるけど上達できるか不安。
そういった人に読んで欲しいお話です。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。
普段はプロや歌の専門学校生、その他夢に向かって頑張る人たちと毎日レッスンをしています。
講師業を始める前は自身も事務所を通して声優俳優、音楽活動を行っていました。
『今回のテーマ』
・上達しない人の共通点5つ
・上達しない習慣の改善方法
・大切なのは客観視と集中力
今回は1000人以上と一緒にレッスンをしてきて感じる “上達しない人” の特徴についてお話しします。
この特徴が当てはまる人が必ずしも失敗するわけではありませんが、なかなか成長を実感できないと焦る人によく見られる特徴です。逆に言えば、これらを注意して避けることができれば上達しやすい習慣が身についたことになります。
是非最後までお付き合いください。
上達しない人には共通点がある
まずは共通点を5つ先にご紹介します。当てはまる、当てはまりそう、これに気をつければいいんだなと思った方はそのまま順番に読み進めてみてください。
ボイトレで上達しない人の共通点
①:勝手に止める
②:講師と同時に声を出す
③:自分の声を聴かない
④:課題を把握・重要視していない
⑤:レッスン時間以外練習しない
テキトーすぎてこれらが当てはまる人も、真面目すぎて当てはまる人もいます。以下ではこれら特徴の解説とアドバイスをお話ししていきます。
上達しない人の特徴その①勝手に止める
音階練習をしていてある音域に差し掛かった瞬間に声を出すのを止める人、練習曲を歌っていて高い音がくる瞬間歌うのを止める人、このようなタイプの人はなかなか成長しづらいです。
他のもので置き換えてみるとわかりやすいかな。
走り幅跳びに置き換えてみる。
例えば走り幅跳び。
助走をつけてどれだけ遠くまで跳ぶことができるかの陸上競技ですが、遠くまで跳ぶ練習をしなければいけないのに踏み切り板を踏むたびにブレーキをかけて飛ばない人が上達するでしょうか?
答えはノーです。
遠くまで飛ぶためには実際に飛んでみて、身体の使い方などを反省し再度挑戦していく必要があります。
ボイストレーニングも同じです。
失敗しそうになって止まることを繰り返せば、いつまで経っても成功のバランスを見つけることができません。失敗するならした上で、具体的に何をどう失敗したかなどの情報を持ち帰り反省した方が練習の効率が良くなります。
100点を目指さない
このタイプの失敗をする人は理想が高く、しっかりした発声を覚えたい、悪い発声をしたくない、失敗をしたくない、怒られたり注意されたくないという傾向がみられます。わざと失敗してみようかと提案して失敗例を見せても、躊躇したり、考え込んだ挙句何もできなくなったりするすることもあるのです。
初心者がいきなりプロのように振る舞うことは不可能です。
子供がいきなり大人になれるのなら、義務教育は9年間も必要ありません。簡単なことからコツコツと挑戦し、失敗や成功を繰り返すことで人は成長していきます。
ボイトレを受けている、つまり発声に関してしっかり管理してくれるトレーナーがそばにいるなら積極的に失敗しましょう。あなたがしっかりと現状を伝えてくれれば、何をどうすれば失敗し、何をどうすれば理想に近づけるか必ず役に立ってくれることでしょう。
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上達しない人の特徴その②講師と同時に声を出す
二つ目。
簡単な発声練習を始めるときや歌のフレーズを講師が実演している時、すぐに真似して一緒に歌おうとする人がいます。こういったタイプの人はなかなか成長しづらいです。
うん。
真似はとても大切です。しかし、本当に真似できているでしょうか?
人は2つのことを同時にできない
殆どの人はそもそも2つのことを同時にすることができません。当然ですが2つのことを同時に考えることもできないようになっています。
あなたの発声・共鳴で改善しなければいけないポイントを説明しつつ講師が実演したら、当然それをしっかり観察して自分との違いを感じることが大切です。
その時すぐに自分が声を出して、
講師の解説を把握
講師の実演を理解
実際に真似してみる
真似した音から改善を実感できている
これらを同時に行って十分な成果が出せるでしょうか?
いまいち分かりづらかったなら例えを変えます。
目の前で起きていることをしっかり観察し、考えた後で自分で再現してみるのと、リアルタイムで観察しつつ再現するの、どちらが細部までこだわれるでしょうか?
なんとなく真似することは同時にでもできます。しかし集中してじっくり観察する時間と、それを基に自分なりに挑戦する時間を分けて取り組むと練習の効率が上がることは間違いありません。
焦って早く結果を出そうとするとかえって失敗したり効果の薄いものになる場合もあると意識して練習しましょう。
上達しない人の特徴③自分の声を聴かない
3つ目。
『自分の声を聴かない』タイプです。
“聞く” ではありません。
“聴く” です。
このタイプには客観的に聴けていないタイプや、一人で練習している時録音が嫌いなタイプがいます。
客観的に聴けていないタイプ
発声練習をしているうちに、こう響いていれば正解、こういう感覚の時褒められた、などといった体験が重なり『響かせること』や『感覚を追い求めること』に一生懸命になってしまう人がいます。
感覚はあくまで結果です。
大切なのは身体のバランス、その結果 “どんな音が出ているか” です。
自分がどんな音を出しているかよりも、自分の喉の締まり具合や身体のどこかの力の入り具合などばかりを気にしているとかえって余計な緊張が入り自由度が狭まってしまう場合もあります。
冷静に自分が出している “音” を観察しましょう。
そして講師や自分が好きなアーティストの発声と何が違うか比べることがとても大切です。
録音が嫌いなタイプ
客観的に聴くのが苦手な人もいます。
そういった人はまずは録音して歌った後に冷静に自分の声を聴くという作業を行う必要があるのですが、自分の声が嫌いだから聞きたくないという人がいます。『ファッションセンスを磨きたいけど自分が服を着てる写真を見るのは嫌だ』と言っているのに近いです。
失敗したくない、悪い部分を見たくないという気持ちは理解できるのですが、『現状を把握した上で対策を練る』のと『なんとなく目的地に向かって突き進む』のではどちらが余計な回り道をせず真っ直ぐゴールに向かっていけるかといったらやはり前者でしょう。
がむしゃらに声を出してもトレーニングの効果は薄いです。
しっかりと今の自分と向き合って、成長していくことが大切です。
(後日更新予定)
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上達しない人の特徴その④課題を把握・重要視していない
4つ目。一生懸命であったりいい加減であったり、もしくは何から何まで先生がなんとかしてくれると思い何も考えていない人に見られるパターンです。
例えば『猫背で歌うことは効率の良い発声を覚える上で損が多いから止めよう』というアドバイスをしたとします。
このパターンの人は返事は良いのですが猫背を止めようとしなかったり、一時的には止めるのですがいざ歌っていると少しずつ猫背の状態に戻ったりします。
いるんです。
指摘しても自分なりに他の課題や弱点に頭がいっぱいで人の話を聞いていない人。自分のことなのに誰かがなんとかしてくれると思い、自分では何も頑張らない人などが見受けられます。
また、発声に関しても意識するポイントを説明したり問題点を指摘したりするのですが、同じ使い方をして同じ結果を招いてしまう人も一定数います。
そんな人に「今何に気をつけて歌ってた?」と聞いても、気をつけるポイントを直前に説明したにもかかわらず「いや、特に何も考えてなかったです」なんて平気で言っちゃう人が実際にいるのです。他のことに気を取られていたり、本当に何も考えていなかったり。
こういった人は当然ですが成長が遅いです。
ボイストレーニングは歯医者で治療を受けているわけでもなければ誰かに全身コーディネートしてもらっているわけでもありません。自分の意思で、自分の身体を操作しより効率的な使い方に変えていかなければいけないのです。
強いていうならお箸の持ち方を矯正したりするのが近いです。
ボイストレーニングが受け身では効果が薄いということに気づければ少しずつ改善していきます。
上達しない人の特徴その⑤練習しない
最後に5つ目です。
せっかくボイストレーニングの時間に大なり小なり変化を感じ、目標への方向性が定まってきても、その時間以外の身体の使い方によっては簡単にリセットされてしまいます。
身体習慣は時間をかけた物の方へ簡単に傾いていきます。
普段から乱雑な字を描く習慣がある人が月2回本気で綺麗な字を書く練習をしたなら、やらないよりは当然効果は出るでしょう。しかし、月2回の練習で学んだことを残りの29日間でも毎日意識した人なら、効果はもっともっと大きなものとなります。
普段のメモ書きなどをいい加減に勢いでやっていたら結局手癖などが消えることはありません。
また、失敗を恐れるタイプの人の中には『自分一人で練習して余計な癖をつけたくないから』という意識の人もたまにいますが、このタイプの人も結果的に進みが遅くなる傾向にあります。
特徴その①でもお話ししましたが、いきなり100点を目指さないようにしましょう。
挑戦して、失敗してを繰り返すことで体験として様々な情報が蓄積され、人は成長していくことができます。
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上達したいなら失敗しよう
以上、ボイストレーニングを受けていても成長しづらい人に見られる特徴についてお話ししました。
特徴5つと全てを逆に言えば『積極的に失敗し、講師の実演を観察し、自分の声をしっかり聴きながら、課題と向き合い、練習時間以外でも意識する』とボイストレーニングの成果が上がっていきます。言われてみると当たり前ですね。
自分はこのままでいいんだろうか、もっと気をつけるべきことが何かないかと気になった方はぜひレッスンにきてください。
お金がもったいない人は街のスクール(シアーミュージック 、【アバロンミュージックスクール】 など)が無料体験を行っているのでぜひ足を運んでみてください。自分一人ではわからなかった発見がたくさんあると思います。
ボイストレーニングで複数の先生のレッスンを受けることは割りとよくあります。学校の仕組みで自由に先生が選べたり、いくつかの授業を受ける上で自然と複数の先生から教わったり。また、自分でネットや本で調べて練習している人も大体が複数の先生から教わ[…]