誰かの真似になりたくない。自分だけの表現をしたい。のっぺりとしているから表現力がもっと欲しい。そんな悩みにお答えする第1弾です。表現力のことで悩んでいる人は是非この記事を読んでみてください。新しい視点が加われば、あなたの表現が変わります。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
プロやボーカルの専門学生など1000人以上を見てきた中でよくある質問『オリジナリティ』。
とっても難しい課題ですよね。
できる人は何も考えてなくても個性が出ているし、自分なりに考えている人でもなかなかうまくいかない人もいる。
この表現について、理屈の観点から説明します。
今回は呼吸編です。
その他3つや、感情や歌詞の読解といった面からの説明はまた後日ご紹介します。(追記 :更新しました!) 誰かの真似になりたくない。自分だけの表現をしたい。のっぺりとしているから表現力がもっと欲しい。そんな悩みにお答えする第2弾です。表現力のことで悩んでいる人は是非この記事を読んでみてください。新しい視点が加われば、あなたの表現が変わります。[…]
・呼吸変化は強弱と長さに注目する
・引き出しを増やすためにまずは真似る
覚えておきたい!表現を作る4つの要素
まずは好きなアーティストの好きな曲をご用意ください。
はい。それでは説明に入ります。
歌唱表現は大きく以下の4つに分類されます。
2. 音程の変化
3. 音質の変化
4. リズム
今すぐに覚えなくても大丈夫です。
ただ、プロの曲をそれぞれの観点から聴いてみると良い練習になるので焦らずひとつずつ挑戦してみましょう。
今回は呼吸に注目してみていきます。
呼吸の変化は強さと長さ
まずは呼吸の “強さ”。
ここでいう呼吸の強さとは音量やアタック感をさします。
音量は分かりやすいですね。
『曲の雰囲気や流れ、伝えたいことに沿って呼吸により音の大きさが変わること』。これが音量の変化です。表現には絶対欠かせない技術の一つです。
アタック感とは何か?
呼吸変化におけるアタック感とは、歌い出し・言葉の喋りだしの息の量をさします。
例えば誰かが聞き間違いをしたときにその言葉を正確に伝えようとする場面、
「出前とるけどなに食べる?」
「カツ丼」
「もつ丼?」
「”か“ つどん!」
このとき”katsudon(かつどん)” という言葉の最初の “k” を強く言おうとすると息がすごく増えるのを感じませんか? 音量も変わりますね。これが呼吸の変化によるアタック感です。
呼吸の変化による言葉の強調が多いと、感情表現がより生々しく感じられたり、バンドに負けないロックな表現を作れたり様々なメリットがあります。
長さに注目しよう
使う息の量がイメージできたら、次は使う息の長さです。この “長さ” では発声時間と、発声時間の中でもより細かい “子音の長さ” に注目します。
まずは発声時間の長さ。
これは分かりやすいですね。
発声には息が絶対必要で、あーーーと言っている限り、つまり息を吐いて声帯が振動している限り音は鳴り続けます。
同じフレーズでも一息で歌っているのか途中にブレスを入れているのか、歌い終わりをどれくらい伸ばすのか、人によって様々です。これが息の長さ。
組み合わせ技として、徐々に息が少なくなることで音が小さくなったりといった音量の変化も狙えます。
子音の長さ
もう一つ、息の長さには別の部分への意識があります。
試しに ”サ“ と言ってみてください。
では次は “サ” という言葉を強調するために “ssssサッ!”と言ってみましょう。文字に起こすとスーーーーサッ!、スーーーーは息を吐くだけです。
表現の理屈その4『リズム』の話とも重なるので多くは書きませんが、例えば “サ(sa)” という言葉は [ s ] と [ a ] の二文字を素早く移動することで成り立っています。
今回の場合 [ s ] を長く言っている状態。
どのタイミングでどちらをどれくらい発音するか、どちらをどれくらい強調するかで当然、聴いている側の印象は変わってくるのです。
好きな曲を聴いてみよう
a. 息の量(強さ)と、息の長さ。
b. 強かったり弱かったり徐々に強弱が変化したり。
それではあなたが用意した曲の中で、歌手はどんな歌い方をしているでしょうか? 次はその練習の仕方についてです
ノートに書き出そう
少しずつ聴いて再現してを繰り返してもいいですが、できればノートにその曲の歌詞を書き出し、まずは自分が感じ取った呼吸の変化を全て書き込んでみましょう。
ここは強調しているな、ここは息を優しく吐いているな、など細かく沢山書いていきます。
そして書いたら、徹底的に真似をします。
ノートをみながら繰り返し真似する
真似するの?
はい。
真似したいわけじゃないのにです。
オリジナルの表現が欲しいのに真似をする理由、それは、とにもかくにもまず「引き出しを手に入れること」が大切だからです。
経験と引き出しはとても大切です。
知らないと使うことはできません。
また、誰を真似するわけでもなく自分の引き出しで勝負ができても、引き出し自体が少なかったら結局表現の幅は狭いままです。
だからまず引き出しを手に入れましょう。
引き出しさえ手に入れてしまえば、あとはそれをどう使うかであなたのオリジナリティが爆発します。
最後に
今回は呼吸変化についてお話ししました。
その他の変化(音程、音質、リズム)に関してはまた次回お伝えします。
また、理屈よりもイメージのほうがいいという方のための表現の作り方についても後日記事にします。(追記:更新しました!
あなただけの表現が見つかりますように。 歌う上で表現力を高めたい。なんとなく表現の幅が少ない気がする。何を意識して練習したらいいか分からない。プロは何であんな表現になるんだろう。そんな人のためのお話です。言葉への意識が変われば表現力は少しずつ身についてきます。是非最後まで読んで[…]