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表現力を高めるために知っておきたい言葉への意識

歌う上で表現力を高めたい。なんとなく表現の幅が少ない気がする。何を意識して練習したらいいか分からない。プロは何であんな表現になるんだろう。そんな人のためのお話です。言葉への意識が変われば表現力は少しずつ身についてきます。是非最後まで読んでみてください。

こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
普段はプロやボーカルの専門学校生、一般の方まで幅広くレッスンをいています。

前回まで4回にわたって、歌唱表現における理屈っぽい変化の種類(呼吸・音程・音質・リズム)について説明しました。


今回はそれらが理屈っぽすぎて頭が痛くなる人のために、感情からアプローチする表現のお話をお届けします。

これを読めば理屈を知らなくても、音に変化を加えることができるでしょう。

・言葉の前には必ず気持ちがある
・言葉には常に距離感がある
・同じ文章でも何を言いたいかで強調する部分が変わる

言葉の前に必ず気持ちがある

 
生徒ねこ
どゆこと?


人が何かを喋るとき、その前に感情の動きがあります

メニューを注文したいから店員さんを呼ぶ、相手の意見に納得がいかないから反論するなど、ざっくり言うと「言いたいことがあるから、もしくは言わずにはいられないから言葉を発する」のです。

これを意識できると、同じ言葉でも状況によって気持ちの込め方が全く違ってくることに気づきます。実際に声に出して読んでみてください。

・シンプルにとてもお腹がすいたときの「お腹すいた!」

・勉強をやめて休憩したい気持ちの「お腹すいた!」、

・相手を気遣う優しさからの「お腹すいた?」、

・今食べたばかりなのにお腹すいたと言われたから驚いて「お腹すいた?」


では、有名な童謡『かえるのうた』の一行目をみてみましょう。

かえるのうたが
きこえてくるよ

 

誰でも一度は歌ったことのあるこの歌詞ですが、言葉の前に気持ちがあると考えたとき、あなたはどんなシチュエーションを想像しますか?

自分なりに歌ってみよう

自分の心に余裕があって、かえるがみんなで仲良く鳴いていて楽しそう という気持ちから歌い出す「かえるのうたがきこえてくるよ」
自分の心に余裕がなくて、かえるが大勢でゲコゲコ泣いていてうるさい という気持ちで歌い出す「かえるのうたがきこえてくるよ」


気持ち一つで言い方・歌い方は変わってきます。

変化を実感できたら、次は自分が好きな曲の歌詞を見ながら考えてみましょう。次のポイントは『距離感』です

言葉は常に距離感がある

 
生徒ねこ
これはなんとなく
わかる気がする


言葉を伝えるってどういうことかな?、ということがが意識できた人はぼんやり想像がつくかもしれません。

わかりやすいところでまず、『独り言なのか、誰かに伝えているのか』。

同じ独り言でも “ポツリと地面につぶやいているのか”、 “空に向かって呟いているのか”。

同じ誰かに伝えるにしても “特定の誰かに向かって言っているのか”、”複数人の人に向かって言っているのか”、”近いのか遠いのか”、”そもそもこの場にはいないのか”。先ほどと同じ『かえるのうた』で意識してみましょう。

〜 距離感の練習 〜

・何か作業をしながら独り言のように

・隣にいる友人に教えてあげようと思って

・絵本を読み聞かせるように、聞いている複数の人に向かって

 

組み合わせてみよう


距離感を実感したら、先ほどの感情と組み合わせてみてください。

“心に余裕があって幸せな独り言” と “心に余裕のない、何かに追われるような独り言”。”心に余裕があって楽しそうに友人に教えてあげる言い方” と、”心に余裕がなくて、アレどうにかなんない?という気持ちを共有したい” 言い方。

他にもいろいろ思いつく限り試し、距離感と感情の変化を感じてみましょう。

何を言いたいかで同じ文章でも強調する部分が変わる

 
生徒ねこ
説明おなしゃす!


はい。

最後は具体的な言葉の立て方の意識です。

今回は初めに、『気持ちが動くから言葉が出てくる』というお話をしました。

ここでは逆の見方をして、同じ文章でもどこが強調されているかで聞こえ方や意味合い、そこに込められている感情が変わるということを見ていきます。

例文・私は苺のパフェが好きです

私は
苺の
パフェが
好き
です


一つの文章を5つに分けました。

この5つのうち、実際に一つずつ強調してどういう風に聞こえるか試してみてください。

“私は”を強調

この部分を一番強調すると、他の人はどうか知らないけれど、話している “” 自身は苺のパフェが好きです、というメッセージになります。

”苺の”を強調

この部分を一番強調すると、色んなパフェがあるけれど、私は “苺味” のパフェが一番好きというメッセージになります。

”パフェが” を強調

この部分を一番強調すると、苺味の商品は世の中に無数にあるけれど、その中でも苺味のパフェが” 好きだというメッセージになります。

”好き” を強調

この部分を一番強調すると、間違えないでくださいね、嫌いなのではなく、私は苺のパフェが ”好き” ですというメッセージになります。

”です”

この部分を一番強調すると、怒っていたり、はいこの話はこれでおしまい、と言ったようなメッセージになります。

・注意点
これはあくまで日常会話、普通に文章を言葉にしたときの印象のお話です。

この言葉が歌になったとき、ですを強調しても「好ーきー、”でーす”♪」と強調してもあまり怒っている風には聞こえないでしょう。

オリジナルで構いません。メロディを創作して、同じメロディでそれぞれを強調して歌ってみて違いを感じてみてください。

最後に

あなたが今練習している曲を、どういう気持ちで歌うのか、誰に向かって歌うのか、それを成立させるには言葉のどこを強調すれば一番自分の想像通りの表現になるのか、一つ一つ試してみましょう。

Aメロ、と一緒くたにするのではなく、Aメロの中でもこれは独り言のように、これは誰かに届けるように、などいろいろ意識してみてください。

最後まで徹底して意識しながら歌うことができれば、上手い下手はともかく、それはあなただけの “歌” になっていることでしょう!

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