絶対音感と言わずとも今より音感を身につけたい。
もっと歌が上手くなりたい。
そんな悩みにお答えします
こんにちはボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。
普段は事務所所属のプロや歌の専門学校生などと一緒にレッスンをしています。
講師業の前は事務所を通し、現在の武道館アーティストなどと一緒に音楽活動をしていました。
『今回のテーマ』
・音感レベルには段階がある
・絶対音感”っぽい”は身に付けられる
・その練習方法
今回は “音感” についてお話しします。
それでも絶対音感っぽいやつがほしい
音感を鍛えたい
低いレベルでも良いから”絶対音感持ってる”って一度言ってみたい
そんな人はぜひ最後までお付き合いください。
絶対音感って何?
絶対音感とは
『ある音を単独に聴いたとき、その音を記憶に基づいて絶対的に認識する能力である』
と説明されています(wikipedia)
ざっくりいうと他の何かと比べず、鳴った音の高さが判る能力です。
絶対音感を持っている、っていうとすごくかっこいいよね。
ものを落としたり、蓋を閉めたり、本を閉じたりの音を並べて音階を作りハンドベルのように演奏する技術は本当に素晴らしいものだと思います。
このレベルは幼少期の訓練が必要です。
しかし、もっと簡単なレベルでの、絶対音感 “っぽい” 音感ならある程度訓練でなんとかなります。
“絶対” とは
絶対音感の “絶対” とは『素晴らしい』と言う意味ではありません。
それ単体で
という意味が近いです。
つまり、パッと見この条件を満たしていればそれは絶対音感 “っぽい”と呼ぶことができるでしょう。
ということでまず、レベル別に分けた絶対音感を紹介します。
レベル1・単音
一音だけ音を鳴らし、それが何の音を指しているかわかる。これも絶対音感です。
そーなんです。
小学校の時に習った、画像でいう少し切れている一番左の鍵盤の音を『ド』とする “固定ド” という考え方ですが、これをもとにドレミファソラシドで答えても良いですし、あくまでCDEFGABで答えても構いません。
レベル2・シンプルな2~3和音(楽器限定)
少し難しくなります。
レベル2は楽器限定となります。
慣れ親しんだ楽器の音高ならわかるというものです。
レベル3・シンプルな2~3和音(楽器問わず)
同じ音高でも楽器によって様々な理由から音色は変わります。音感のレベルによっては、慣れ親しんだ楽器以外での音高の判断は難しいかもしれません。
レベル4・複雑な3つ以上の和音(楽器問わず)
この辺りから音楽経験者からも驚かれる『絶対音感』という印象です。
レベル5・ヘルツ単位の音の違い
音は空気の振動で生まれます。
これを表す単位が『ヘルツ』です。
定番は440ヘルツ(ピアノの真ん中のAの音)です
基準となる音の高さをヘルツ単位でずらし調律したピアノで曲を弾いています。
比べるとわかる
それぞれを聴き比べると違いがわかると思います。
しかし、これを聴き比べることなく、単音で違和感を覚えることができる人がこのレベルの絶対音感保持者です。
そしてこのレベルになると、物音でもハンドベルのような演奏を作ることができると言われています(推定なのは僕自身がこのレベルではないため)
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画像引用元・https://www.musicca.com/jp/piano
プロアマ問わず1000人以上をレッスンしてきましたが、レベル別に絶対音感を分けた上で、レベル1に関しては多くの人が訓練で身につけることができると考えています。
はい。
もちろんある程度の努力は必要ですが、1だけは厳密には絶対音感の定義から外れて再現可能だからです。
ステップ1・どの鍵盤を押せば何の音か思い出す
まずは小学校の音楽の時間を思い出してください。
どの鍵盤を押したらなんという音が出たでしょう?
引用元のサイトではスマホでもPCでも、音を鳴らすことができました。押しながら覚えるのもいいと思います。
最低限これだけはお勉強の必要があります。頑張ってください。
これだけ確認したら次のステップです。
ステップ2・一音だけ覚えよう “A”
ドレミファソラシドでも良いですが、せっかくなので ”CDEFGAB” でも覚えられると役に立ちます。
引用元の鍵盤の中で “A” の音を覚えてください。
https://www.musicca.com/jp/piano
同じAでも1オクターブ違えば音の高さは変わります。
覚えるのは出しやすい方で構いません。
ステップ3・12個繰り返せば絶対音感レベル1
音を鳴らして、声に出す。
声に出して、音を鳴らしてズレを確認する
忘れた頃にまた音を鳴らしたり、声を出したり。
頭の中で同じ音を鳴らせるくらい繰り返してください。
記憶と、声を出している感覚のおかげでいつでも A の音を出せるようになります。
これが “っぽい” の正体です。
厳密な定義からいうとこれは声を出した時の筋肉のバランスなどを頼りにしているため絶対音感とは異なります。
音を覚えれば覚えるほど、1オクターブという地図の中に目的地がしっかり描かれている状況なので音感が良くなっていきます。
これはレベルの高い相対音感と表現される場合もあります。
喉の感覚であったり、自身のある音であったりから素早くなっている音にたどり着くのは確かに相対です。が。
大切なのはなぜ絶対音感を身につけたいと思ったかという理由の部分です。
音楽の上達が理由なら、これで目的は達成されています。
人に絶対音感を身につけたアピールをしたいなら、同じくこれで目的は達成されています。手品の種みたいなものですが、言わない限りあなたが何かをきっかけに音の高さを当てたかなんてわからないからです。
最後に
今回は絶対音感 “っぽい” ものを身につけるためのシンプルな練習方法をお話ししました。
『高度に発達した科学は魔法と変わらない』なんて言葉がありますが、なぞらえるなら『音に頼らない素早い相対音感は、ちょっとした絶対音感と変わらない』といったところでしょうか。
練習自体はとても地味です。
しかし、技術を身につける上で派手で楽なものはありません。
自分なりに目的をもって、楽しく習得していきましょう!