ボイトレをしていて、下顎や舌が力んでいるのは感じられるんだけど力の抜き方がわからない。力を抜いて発声練習をするにはどんな方法があるだろう。そんな人に向けてのお話しです。これを実践できるようになれば遠回りのようで確実に舌の脱力、顎の脱力が身につきます。是非最後まで読んで練習してみてください。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
あなたは歌や会話で力が入って、喉を痛めたり疲れたりしていませんか?
今回はプロでも使う具体的なチェック方法をご紹介します。
力を抜かなくちゃいけないんだけれどどんな練習をしたらいいか分からない、という人はぜひこの記事を読んで挑戦してみてください。
(うまくいかないという人は首の位置や姿勢が悪すぎる場合があります。あわせてこちらの記事をチェックしてみてください ボイトレCDを聴いて毎日真似してる。先生の言うことを意識していつも歌っている。なのになんだか効果が薄い。CDのお手本や先生と自分は何が違うんだろう。そんな人はちょっとこの記事を読んでみてください。こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣[…]
・指2本分口を縦に開いたまま舌を動かす発声練習が効果的
・音程を出せることよりも大切なことがある。
緊張を自覚しよう
まずは簡単なチェックです。
余計な力みの中でも今回特に無くしたいのは下顎と舌。
喋っていてすぐに疲れてしまう人や歌で喉を痛めてしまう人はこの緊張に無自覚な人が多いです。
声を出せる場所であれば誰でも簡単にチェックできる方法なので、自覚のある人もない人もまずは確認してみてください。
“エアエア” チェック
1. 指2本分口を縦に開きます。
2. そのまま音階(123454321)で1音ずつ、舌を前後に動かしながらエアと発音します。
123は音階です。
123454321ならドレミファソファミレド。
ドレミ表記でも良いんだけど、良くも悪くも日本の音楽教育は “固定ド” 。音階が上がるごとに “どシャープれシャープファふぁシャープ、、、”なんて書いていられないので大抵こういう風に表記されます。プチ情報。
大切なポイントは2つ。
音を繋げるように一息でやること
そして
決して顎を動かさないこと
低い音でできた人は少しずつ音を上げていき、高い音でも挑戦してみましょう。
高い音に向かうほどうまく舌が動かせなくなったり、アゴが動いてしまう人は余計な緊張が増えている証拠です。
ふーん。
で、なんでうまくいかないの?
それは、、、
身体は助け合っている
上手くいかない理由、それは人の身体は色んな部分が互いに助け合ってできているからです。
重たい荷物を片方の肩でばかり持っていると身体のバランスがゆがんでしまうという話を聞いたことはありませんか?
はい。
では猫背の人を想像してください。
程度は人によるけど、猫背の人は大抵頭が肩より前にでていて背中が曲がっています。首や頭はまっすぐで背中だけ曲がっている人や、背中は真っ直ぐで頭だけ出ている人はあまりいません。
これは頭の重さや身体の重さを無意識にバランスとっている結果なんです。
舌の緊張をアゴがサポートする
発声はたくさんの筋肉が参加しているとても複雑な現象です。お互いに影響しあっています。
それは声帯周りの筋肉と、舌を動かす筋肉の関係も同じです。
どちらが先かは人によりますが、声帯周りに余計な緊張が多い力で歌ってしまうタイプの人は舌、特に奥の方がガチガチに固まっています。
エアエアと舌の形を変えて発声したいのに舌が固まって滑舌をとることができない。そうするとアゴのサポートが始まり、アゴを動かすことで少しでも発声中舌を動かしている状況をつくり滑舌を助け始めるのです。
普段は気づきにくい
これは小さい頃から声を出すたびに少しずつ、繰り返し繰り返し起こり習慣化されているのでなかなか気づくことができません。
そこで、サポートを自覚するために顎のお手伝いをなくします。指2本分口を縦にあけるのはそのためです。
前後の動き以外のチェック法
舌は言葉を作るためにとても複雑な動きをします。
人によっては特定の動かし方の時に他より余計な力が入りやすい場合があります。
エアエアは舌の前後の動きチェックでした。
他には大きく分けて舌の前側上下、舌の後ろ側上下があります。
舌の前側上下
1. 指2本分口を縦に開きます。
2. そのまま音階(123454321)で1音ずつ、舌の前側を上から下に動かしながらラと発音します。
指2本分口を縦に開けるところは同じです。
綺麗な日本語の滑舌をとる必要はありません。大切なのは発声しながら舌の前側を上下に動かせること。その状態で音階練習をしてみてください。
力んでいる人はやはり奥側が緊張して硬いので、上に舌をあげようとしても届きません。
そして、なんとか届かせようとアゴが動き始めてしまいます。
練習する時はアゴが動かないよう、出しやすい音程出しやすい声の柔らかさで少しずつ挑戦しましょう。
舌の後ろ側上下
1. 指2本分口を縦に開きます。
2. そのまま音階(123454321)で1音ずつ、舌の前側を上から下に動かしながらガッと発音します。
指2本分口を縦に開け、動かさずに発声するのは同じです。
今度は舌を固めることなく、後ろ側がしっかり上下するか確認する練習です。
この場合はもう一点、舌が奥に引っ込むことで山を作らないよう注意してください。
無意識に舌が奥に引っ込むことでカ行・ガ行・ナ行を発声するのも、やはり本来の動きとは違う “サポート” といえます。舌先が前歯や下唇についている状態をキープして練習しましょう。
また、ガッで難しい人はカッで挑戦してみてください。
その点カ(ka)は無声子音。子音(k)の段階ではまだ声帯の振動が始まっていません。正しく自然な舌の動きを覚えるためにも、難しい人は無理せずカッで練習してみてください。
焦らず小さい声、弱い声から少しずつ練習する
サポートは声を出す時に緊張することで始まります。
なので決して力で頑張るのではなく、出来る状態を徐々に拡大していくつもりで頑張りましょう。
また、慣れてきたらより複雑な舌の動きに対応できるよう組み合わせてみてください。
ラガラガラガ、
カラカラカラ、
ガエアガエア、
この辺まで問題なくできる頃にはだいぶ発声の問題は改善されているでしょう。
最後に
舌に力入っているから抜こうね、
喉に力入っているから抜こうね、
それで上達できる人はこの練習は必要ありません。
しかしほとんどの人が、分かってはいるけれど具体的にどこをどう気を付けたらいいのかという状態です。
この練習はすごくシンプルでわかりやすく、アゴを動かさず舌が自由に動いていればその部分に関して課題クリアです。たまに顎や舌が自由になった反面首をガチガチに固めている人がいますが、これはこれで別のサポートを使い出しただけなので気を付けましょう。
余計な緊張をなくすという一点において、一人でもできる気軽な練習法の紹介でした。
ぜひ挑戦してみてください。
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