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“高い声を出せたら上手い?” – ボイトレしてる人が考えたいその他のこと

高い声を楽に出せるようになりたい。
ボイトレを始める時、半分くらいの人はこの願いがきっかけな気がします。

実際、年間1000件以上、プロやプロを目指している人もレッスンしている中でよく出会う悩みですが、ここに執着しすぎると本来の目的を見失ってしまうでしょう。


目的と手段を混同しない

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まず大切なこと。

歌手とは、表現方法の一つとして “歌” を選択している人のことを指します。

表現したい世界観があり、
言葉やリズム、メロディを選択的に使っていくことで “歌” となります。

歌をより良いものにするためには、発声の邪魔をしない負担の少ないバランスのいい身体、筋肉の使い方をしなければなりません。

それを踏まえて質問です。

高い音を自由に歌えるとはどういうことでしょうか?

“出せる” と “歌える” は違う

低い音から高い音まで楽に声が “出せる” こと。

確かにそれは幅広い音域を効率良く発声するバランスのいい身体の使い方を手にいれた状態と言えます。より繊細に、より自由に身体を使うことができれば表現の幅はぐんと広がっていくでしょう。

そして今お伝えした通り。

大切なのは、道具を自由自在に使えることです。


どんなに優秀な道具を持っていたとしても適切な使い方ができなくては全く意味がありません。歌とは呼吸・音程・共鳴・リズムが変化することでその人独自の個性を生み出すとても奥の深い芸術です(詳しくは後日別記事にて)。

 

音域が広がるというのは、歌い手にとってあくまで選択肢の幅が広がったというだけ。高い声が出せるということはあなたの世界をより豊かに表現するための手段であり、それ自身がゴールではありません。

高い声をだせれば皆歌が上手いわけではないのです。

 

なぜ高い声を出したいのか

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とは言ったものの、選択肢が増えるなら悪いことではないですよね。
高い声が楽に出せるようになりたいという気持ちを捨ててしまう必要はありません。

なので次に、『目的』について考えます。


あなたにとって高い音、高い声で歌えるようになる目的とはなんでしょう?

 

大好きな歌手のようにのびのび歌いたい、自分がプロを目指してより幅の広い表現をできるようになりたい、異性の気持ちを歌で掴みたい。などなど。


理由は人それぞれです。


しかし共通して “より良い表現のため” という点では同じでしょう。自己満足でも、モテたくても、感動させたくても、全てより良い表現のためです。

 

そのためには音域が広いだけではダメですよね?

やはり道具の使い方が大切になってきます。

なぜその曲を歌いたいのか、
なぜこのキーで歌いたいのか、
一番大切なのは音の高さなのか、

あなたの心の一番深い部分の衝動を探してみましょう。
その上で高い音を出す練習に向き合えると、やる気や姿勢が大きく変わってきます。

高い声以外に気にしてみるあれこれ

・言葉のどこを強調するか
・一息でどこまでのフレーズを歌い切るか
・柔らかい声か硬い声か
・浅い響きか深い響きか
・同じ母音でも口や舌の動かし方でどう変化させるか
・リズムの取り方とグルーブ感

 

高い声以外に歌が上手くなるために必要だと思われるポイントですが、気が向くまま羅列するだけでもこれだけのポイントがあります。

あげたらキリがないのでここまでにしますが、高い声が楽に出せるというのが歌にとって道具の一つでしかないということがわかっていただけると思います。

 

これらを踏まえたうえで、あなたの一番好きなアーティストの曲を聴いてみてください。今まで気づかなかった魅力が沢山詰まっていることに気づくでしょう。

 

あなたの表現したい世界には何が必要でしょうか?


沢山ありすぎて気持ちが萎えたという方も、一度ここで踏ん張ってみてください。

なんとなく歌っていた部分を一つ一つ考えながら試していけば、それがあなただけの ” 表現の引き出し” になります。

 

最終的には無意識に選べる

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上の段落で考えるポイントを沢山挙げました。
しかし、
一度覚えてしまえばそこまで必死に難しく考えることはありません。

初めて自転車を漕いだとき、
初めて自動車を運転したとき、
気にするポイントは沢山あったと思います。ですが、それらを今に至るまで同じくらい難しく必死に気にし続けている人は少ないでしょう。慣れれば慣れるほど、素早く簡単に判断・選択できるようになります。

 

もちろん芸術は一生勉強の世界のなので終わりはありませんが、歌いながら常にそのことで頭がいっぱいいっぱいなプロはそういません。基本的には練習の成果に身を任せ、本番では表現したいものをのびのびと歌い上げます。

あるとすれば、それはどこか冷静な自分を常に持ち、技術を以って、緊張や身体の不調により外れそうな表現の方向性をさりげなく修正させるといった具合でしょうか。

最初はみんな難しい

どんな技術を覚えるにしても初めは簡単ではありません。

私たちは覚えていないだけで、あいうえおを一から教わり漢字の書き取りを繰り返し行なってきました。

箸が持てるように食事のたびに周りの人を真似しながらご飯を食べてきました。

友達と遊んでいるうちに、カードゲームやボードゲームのルールを覚えました。

サッカーや野球ができるようになりました。

歌も同じです。

興味を持って飛び込んだ次の瞬間、覚えなくてはいけないことがたくさん待ち構えています。しかし最低限のルールさえ覚えたらあとは自由です。基本的なルールは無意識に選択され、それ以外を楽しむ余裕がでてくるでしょう。

 

終わりに

繰り返しになりますが、高い声をだせるようになったらゴールではありません。

よりよい歌を歌うために必要なことはたくさんあります。

焦らず諦めず、一つ一つ問題を解決していってください。

趣味であれプロを目指すであれ、あなたの歌がより良いものになりますように。

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