カラオケで練習する時画面を凝視する。家で練習をする時スマホで歌詞を見る。そんな人は一度歌詞を覚えるメリットに目を向けてみましょう。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣です。
今日は “歌詞は覚えた方がいい” という部分を細かくお話しします。
はいおしまい!
そーなんだけど。
具体的なメリットについて再確認しましょうという回だと思ってください。なぜ覚えた方がいいのかというところを少し具体的に注目します。
身体のバランスや発声に集中できる
歌詞が頭に入っていると、それ以外のことのに集中できるようになります。その一つが『身体のバランスや発声』です。
脳は基本的に、二つのことを同時に考えることができません。
難しい言葉知ってるね。
マルチタスクは複数の事柄を同時に処理することとされていはいるけれど、厳密には同時にやっているわけではありません。あくまで同時に見えるくらい素早く脳を切り替えながら処理をしているだけなんです。
そしてこのマルチタスク、一つのことを集中してやるより40%も生産性が落ちてしまうと言われています。
これをボイトレに当てはめて考えてみましょう。
歌詞を覚えていなくて、なんだったろうと画面を見ながら確認する作業と身体や発声を意識する作業、二つのことを同時にやろうとするとこの効率が落ちてしまうのです。
歌詞は覚えましょう。
歌詞を確認する作業に脳が持っていかれずに済めば、姿勢は崩れていないか、舌や下顎に余計な力が入っていないかなどに集中することができます。すなわち効率アップです。
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記憶すると表現に集中できる
同じように、『表現』です。
歌詞がちゃんと頭に入っていると自分の表現に集中できるようになります。
発声は基本的に『呼吸、音程、音質、リズム』で成り立っています。
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自分がどういう表現をしているか、そしてやっているつもりの表現がどういう音になっているかを確認するは一番大切な作業です。
基礎発声という『良い楽器を作る作業』
表現という『良い演奏をする作業』
この二つは歌っていく上で一生つきまとう作業です。
歌詞を見ながら(or 何かをしながら)作業して効率を40%も落とすのは勿体なさすぎます。
以上のような理由から、歌詞は確実に覚えつつ練習をするよう意識しましょう。
歌詞の見方に注意しよう
それでもどうしても並行してやりたい、並行してやらないと落ち着かないという人は歌詞の見方に注意しましょう。
あくまで歌詞カードやスマホを見る前提でお話ししますが、手元で見ずに『目線の高さに合わせて』見るよう意識してみてください。
身体はバランンスでできています。
手元のスマホを見ようとすると頭を下げ首が前に出ます。
そのバランスをとろうとすると、胸が下がったり猫背になるのです。
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胸周りの骨格、”胸郭” が狭くなることで中の肺が膨らむスペースが減ってしまい、単純に呼吸が浅くなるというデメリットがあります。また、前に突き出た頭は喉頭・喉のバランスが変わってしまい声が出しづらくなってしまいます。
カラオケで歌う場合そうはいきません。
画面の場所が部屋によって決まっているからです。
そういう場合、できれば姿勢は一番効率の良い状態をキープして、顔を動かさず視線だけ動かして盗み見るように意識してみましょう。
歌詞を見るために体を崩す、崩した後に歌いながら発声を気にする、というのはとても効率が悪いです。
より早くより確実に上達するためにも、できれば歌詞は覚えてしまいましょう。
(おまけ)英語の歌詞は絶対カタカナで覚えない!
洋楽を歌えるようになりたいと勉強している生徒で、全部カタカナで書き出してくれているサイトを参考にしているのを見かけたことがあります。
絶対やめましょう。
例えば童謡 “かえるのうた”
この歌詞が正解かどうかわかりませんが見つけたので例としてご紹介します。
♫ かえるのうたが
この部分は
♫ Little froggy’s little song
となっているのですが、カタカナ表記のサイトではこれを
♫リートウフロォギーズリートウソォング
なんて書いてあります。
これは逆に言うと、日本語のわからない外国の人のために
♫ kaerunoutaga
と書いてあるようなものです。どの言葉が何を指しているかもわからないし、文章というより呪文ですね。単純に覚えづらいです。
呪文を唱えて表現を極めようとするなら止めはしませんが、基本的には「 Little って何だろう?」、「froggy’s って何だろう?」と意識して意味をはっきりさせた方が表現は自由になります。
また、カタカナで発音を覚えてしまうと厳密には違う口や舌の形を追求することを諦めてしまうことにもなります。
英語の曲を練習する時は可能な限り言葉の意味と発音をしっかり意識し、カタカナで歌わないようにしましょう。
最後に
今日は『歌詞は見た方がいい』と言う部分をより詳しく掘り下げてお話ししました。
皆さんの表現が少しでもいいものになりますように。
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