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ボイトレ大事】いい歌のために呼吸・吸う息にもこだわっていますか?

歌が上手くなりたい。
呼吸について理解を深めたい。
歌における呼吸の練習方法はないか知りたい。


そんな人に読んで欲しいお話しです。


こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。

普段はプロや歌の専門学生、その他夢に向かって頑張る人たちと一緒に毎日レッスンをしています。講師業の前は自分も事務所を通して声優俳優・音楽活動を経験してきました。


『今回のテーマ』

・呼吸も表現の一部  
・呼吸の原理
・呼吸練習3つ

 

今回は呼吸についてのお話です。
人間だから息を吐くのも吸うのも当たり前にできるじゃん、という方は多いと思いますが、実は息の吸い方一つにも個性があることをご存知でしょうか?

吸い方一つ、吐き方一つで歌に向いてる向いていないがあるのです。

また、ステージに立ったらありとあらゆるものが観られています。細部にまでこだわってよりより歌を届けたいとは思いませんか? ぜひ最後までお付き合いください。

 

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ブレスも歌の表現の一つ

 

試しに何パターンか息を吐いてみましょう。

a:静かに手を温めるように「はぁ〜」
b:周りにアピールするように大きくため息「はぁーーー」
c:舌先が歯の裏に当たっている状態で「sssssssssssss(スーー)」
d:英語の [ f ] の発音で下唇を軽く噛みながら「fffffffffふぁっ(フーーファッ)」

 

様々な息の強さや吐き方で息の『音』が変わったと思います。

当然吸う時も同じです。
口や喉の形、息の量でいろいろな音が出ます。

 

呼吸音を歌の中で表現として加える

 

自由にいろいろな音が作れるということは、吸う度に毎回喉が鳴るように同じ音がなっている人は損をしています。せっかくの表現のチャンス、引き出しを自ら一つ潰しているようなものです。

“歌” とは音をコントロールする芸術です。

吸う時に余計な音が鳴らない方が言葉がスッと入ってくる場合もありますし、吸った瞬間口先や喉で音がなることで次の表現の雰囲気が増すこともあります。

呼吸をコントロールできるようになりましょう。吸うたびにやたらと同じ音が鳴ると、それは音の芸術において余計なノイズです。

歌うことはもちろん大事な技術ですが、「息を吸ったらそうなっちゃう」ではなく、ぜひ呼吸のコントロールもできるようになってください。

 

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練習前に知っておきたい呼吸の仕組み

 

ほんの少しだけお勉強です。

 

 
生徒ねこ
勉強やだ!

 

しかし、この理屈を知っているか知らないかでは呼吸練習に対する意識やイメージ、効率が大きく変わってくるのでぜひ知っておいてください。

 

空気は気圧の高いところから低いところに流れる

 

普段感じることはありませんが、実は空気にも『重さ』があります。

液体を想像してください。
たら〜っと垂れた液体は地面に真っ直ぐ落ちていき、その後押し出されるように左右に広がっていきますね?

気体も同じです。ただし、広がろうとしても周りにも同じ重さの空気がギッチギチに詰まって、同じ力で押し合っているので動くことができません。


では質問です。

隣り合っている空気の圧力に差があったらどうでしょう?

お互いが押し合っているということは、圧力が高い方が低い方をより強く押していくことになります。これが『空気の流れ』です。

 

呼吸の仕組みに当てはめてみよう

 

ではこれを人間の呼吸の仕組みに当てはめてみましょう。
(厳密には中学校で習ったようなヘーリングの模型であったり、内部が陰圧状態でうんたらかんたらと正確な仕組みがあるのですが、ここではざっくりとした解説を行います。)

大前提として、肺は自分の意思で伸び縮みすることができません。周りの筋肉の動きや圧によって広がったり縮んだりするただの『袋』です。

まずは息を吐く仕組みから。
息を吸って肺を空気でいっぱいにしてください。

 

 
生徒ねこ
(すーーーっ

 

はいありがとう。
今、肺の中に空気が入っています。

肺は自分の意思で伸び縮みしない、そして空気は圧力の高い方が低い方を押し出していくことで『空気の流れ(風)』が生まれることはお話ししました。

ということは、肺に圧をかける何かしらの動きが必要です。その有名どころが『肋間筋』や『横隔膜』です。

 

口から肺を内側、それ以外を外側とする

もう少しです。
膨らんだ肺に肋間筋(肺の周り)や横隔膜(肺の下側)が働きかけると、肺の中の圧力が高くなっていきます。ちょうど膨らんだビニール袋を外からパンっと押したような状態だと思ってください。

圧がかかることで、空気は気圧の高いところから低いところへ移動していきます。では低いところはどこか。それが口より外側の世界です。

肺に圧がかかって身体の外に空気が流れ出ていく、これが『息を吐く』という現象です。


では、今度は吸う方。

 

 
生徒ねこ
(すーーーーーっ

 

空気がどんどん押されて出ていったあと、圧をかけていた奴らが引いていきます。するとその動きにより肺が広がります。今度は肺より外の世界の方が圧力が強くなるので、外から内に向かって空気が流れてきます。

圧をかけていた奴らがそれをやめ、引きながら肺が広くなることで外の世界の気圧の方が強くなる。結果的に肺に向かって空気が流れ込んでくる。これが『息を吸う』という現象です。

 

喉や口周りに呼吸の装置はついていない

 

はい。ざっくりと呼吸の仕組みについて説明しました。

このことからどんなことがわかるでしょうか。それは『吸ったり吐いたりする時に口周りや喉周りを意識する意味はあまりない』ということです。

頑張って息を吐こう、頑張って息を吸おう、意識は決して悪いことではありませんが、口や喉は単なる通り道にすぎません。

呼吸をスムーズに行いたいなら、口や喉周りは広く開いてリラックスしていることこそ一番の手助けです。そこに感覚を持つ必要はありません。

 

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息を吸う時音が鳴るのは喉が狭くなっている証拠

 

 
生徒ねこ
感覚を持つ?

 

うまく呼吸ができず、激しく動いているわけでもないのに歌中で必ず余計な音が鳴ってしまっている人は喉周りにすごく力が入っていて狭くなっています。そこに短い時間でたくさんの空気が通過しようとするので振動が起こり『音』がなるのです。


結果的に振動を感じたり筋肉の収縮を感じた結果、さもその辺りで何か特別なことをしているであろう気分になること。それらを『余計な感覚を持つ』と表現しています。

ここで大切なのは『狭いところに強く息が流れると摩擦で音がなる』ということです。

例えばわかりやすい例として舌先を歯につけて「ssssssss(スーー)」と息を吐いている状態。これは『無声歯茎摩擦音』といって、舌先と歯茎で狭さを作りそこに空気が流れることで起きる摩擦の音とされています。

狭いところに空気が流れると音がなる。これは舌先に限った話ではありません。

喉に余計な力が入っていて狭い状態、そこに空気が流れると当然音がなります。人によってはその狭さの結果声帯同士が近いポジションにあるため吸いながら裏声のような高い音が乗っちゃう人もいます。

喉に余計な力が入っておらず広くリラックスしていて、筋肉と気圧の関係で勝手に空気を取り込むような感覚がうまくいけば、安静時はそれほど余計な音は入りません。ボイトレ界隈で合言葉のように言われている『喉を開く』『喉を広げる』は歌だけではなく、呼吸で余計なノイズを発声させない意味もあったのです。

 

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呼吸練習をしてみよう

 

お待たせしました。それでは呼吸練習です。

 

 
生徒ねこ
待ってました!

 

今回は大きく3つ、『①無理に吸おうと思わなくても空気が入ってくる感覚の取得』『②それを基にした基本的な呼吸練習』『③より強く短くしても基本を見失わない呼吸練習』の3つの紹介です。

とはいえ、身体の使い方も癖も様々なので、①より③の方がわかりやすいという人もいるでしょう。その場合はどれを挑戦してもらっても構いません。まずは①から順にお試しください。

 

共通の注意事項

それぞれを試す上で共通の注意事項として、肋骨・肋間筋の動きをセーブするイメージで横隔膜や腹横筋・腹斜筋などのお腹周りの筋肉を強く意識します。簡単にいうと『空気を吸って一度広げた肋骨周り(胸も背中も)はずっと広さをキープ』、そのままお腹周りからかかる圧を中心に呼吸をしていきます。

 

 

①吐ききって数秒我慢、ゆっくり脱力

 

お腹と背中をしっかり伸ばし、息を吸って胸の中を広く空気で満たします。

その後、自分のタイミングと量でいいのでまず息を吐ききってください。

吐ききった。これ以上吐けないと感じたのち、3〜5秒我慢します。

我慢したらゆっくりと力を抜いていきましょう。舌をリラックスさせ口の中が広く開いていると、脱力して緩んだと同時に空気がスッと入ってくるのを感じることができると思います。

 < 感じられない場合 > 
感覚が得られない人の特徴として、『吐く時にしっかり吐ききれていない』『吸う時に入れたはずのお腹辺りの筋肉の脱力ができていない』ケースが考えられます。この2点に注目して何度もチャレンジしてみてください


胸郭が固かったり呼吸が浅い人はうまくいかない場合もあるので、そういう人はこちらの記事を読んでみてください。

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②3拍吐いて4拍目で吸う

 

脱力と同時に空気が入ってくる感覚が得られたという人は、それをリズムを意識しながら行います。

3拍だと吐ききる感覚が掴みづらいという人は『7拍吐いて8拍目で吸う』に挑戦してみてください。

リズムに合わせて3拍「sssss(スーー)」と息だけ吐きます。

4拍目のカウントと同時に脱力し、ほとんど音を立てずに空気を取り込みましょう。

 < できない場合 > 
うまくいかない人は吐く時に姿勢が崩れ胸周りが狭く縮むことで圧をかけることに慣れてしまっている可能性があります。息を吐いている間、肩が大きく上下していないか、胸の中心が落ちていっていないかチェックしてみてください。吸う時にうまくいかない人は①の原因と同じです。合わせてそちらももう一度チェックしてみましょう。

 

③ドッグブレス

 

共通注意事項はキープした状態で、犬のように「ハッハッハッハッ」と素早く息を吐いてみましょう。

息を吐くために一瞬お腹をしっかり使うのですが、直後オフになった時、脱力がしっかりできていれば吐いた反動で空気が入ってくるくらいの感覚でずっと吐き続けていられます。

吐いて・吸ってを1セットで、一秒間に2回くらいのペースで30秒間挑戦しましょう。

 < 注意点 >
反動で空気が入ってくる、吸う意識を持っていないのにお腹の使い方で勝手に空気を取り込んでいるという感覚をより掴みたい方は一秒間に4回ペースで挑戦してみてください。どうしても余計な緊張が多くなり音は立ってしまうのですが、お腹周りの使い方と呼吸の連動を感じるにはもってこいの練習です。うまく吸えない人は①と同じ、状態になっているのでそこを確認してみてください。

 

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呼吸(部分)練習も連動もどちらも大切

 

今回は呼吸の意識についてお話ししました。

特に息を吸う部分に関しては無関心だった人も多いのではないでしょうか。

呼吸は歌を歌う上での一番大切な要素の一つです。当然発声に必要な筋肉とのバランスが成り立たないと上手な歌にはなりませんが、焦らず一つ一つ練習することにも必ず意味があります。

なんとなく、ではなく、身体で起こっていることを一つずつ意識できるようになるとそれは自信にもつながってきます。意識的に改善していき、最終的には何も考えなくても上手に使えている状態を目指しましょう。

自分一人ではよくわからないという人はぜひレッスンにお越しください。お金がかかるのは嫌だという人は、街のボイトレスクール(シアーミュージック 【アバロンミュージックスクール】 )などが無料で体験レッスンを行っているのでオススメです。

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