最近練習で伸び悩んでいる人。
そんな人に読んで欲しいお話です。
こんにちは、ボイストレーナーの入来院真嗣(@contro_re)です。
普段はプロや歌の専門学生、その他夢に向かって頑張る人たちと一緒に毎日レッスンしています。講師業の前は事務所を通して声優俳優音楽活動を経験してきました。
『今回のテーマ』
・録音は “良いところ” も探そう
・良いところ程当たり前と思いがち
・悪いところは一生なくならない
今回は自分の声を録音した時に、悪いところばかりだけではなく良いところも見つけようというお話です。
一生懸命練習するとどうしても出来てないところにばかり目がいってしまいます。これはこれで成長には不可欠な要素なのですが、冷静に、良いところにも目を向けると色んなメリットがあります。ぜひ最後までお付き合いください。
良いとこ探しは自分の “売り” につながる
そもそも、みんなが認める誰かの個性とはなんでしょう?
それは『長所』です。
勿論短所も個性の一つとは言えます。しかし、短所が周囲に良い意味で受け入れられるには結局『言い換えることで長所と解釈される』場合や『短所があってもそれ以上に好感度が高い』場合などに限られます。短所は個性としては認められても、受け入れられるには条件があるのです。
特に、歌で個性を出したい、プロを目指したいという人はみんな『オリジナル』にこだわります。
オリジナルは言い換えると『人と違う “売り” を持っている人』です。
誰でもできること、他の人にとっての普通はあなただけの “特別” にはなれません。
自分を売り出すためには自分のアピールポイントを知ったり、作ったりすることが大切です。
“売り” ができるとブランディングしやすくなる
また、自分の良いところを知るとそれをもとに自分が目指す方向性を意識することが出来ます。
ブランディングとは『ブランド』を作るための様々な活動のことを指します。類似の製品や商品の中から区別化する、つまり “周りと異なる自分だけの売りポイントを作る” 作業です。
自分の売りポイントがわからない人はがむしゃらに『上達しよう』『上手くなったらプロになれる』と考えています。しかしテレビのアマチュアカラオケバトルや実際にプロになった人を見ればわかると思いますが、上手いだけではプロにはなれません。
自分の柔らかい声が好き→優しい歌声を売りにしよう
自分のパワフルな声が好き→熱いスタイルで歌えばこういう層に受けそう
自分の良いところを知るとそれをもとに方向性を意識することが出来ます。逆に自分が売り出したい路線や客層がハッキリしているなら、それに適しているかどうか判断しそうでない部分を改善することもできます。
改善しながら同じ土俵で勝負する人たちと比べて良いところを見つけることができるとそれがあなたの強みになるでしょう。
自分を商品として売り込むためにも、良いところ探しは絶対に必要です。
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『当たり前』の中にも良いところはある
良いところを探そうと意識的にスイッチを切り替えるのは別の理由もあります。それが『当たり前』を見逃さないため。
例えば猫は耳の周囲の筋肉が発達しているので耳を動かして音を集めやすくしています。
人間はそういう風にできていません。少し動かす程度のことならできる人もいますが、耳だけ動かして聞き耳を立てたりすることはできないのです。そしてこの、猫の耳の特徴として左右にピンと張った状態のことを人は『イカ耳』などとと特別な呼称をつけていたりするのです。
当たり前はついついスルーしてしまう
自分の中の普通は普段意識することができません。
これは字を書く時にいちいち鉛筆の握り方や手の動かし方を考えないこと、食事のたびに箸の持ち方や動かし方を考えないことと同じです。日本人ならほとんどの人ができる箸使いも、未経験の外国人には難しいですね?
普段できて当たり前、普通にやっているところにも実は “良いところ” が隠されている場合があるのです。
あなたの当たり前が他の人の当たり前とは限らない
とはいったもののの、自分の中の『普通』に対して特別な意味を見出せと言われてすぐに発見できる人は少ないです。
そのために、まずは当たり前を疑えるようになりましょう。
・街を歩きます
・同じ方向に向かって歩く人を見つけます
・見つけたら歩き方を真似してみましょう。
歩幅や足の開き方、靴の先がどちらを向いているか、どれくらいの速さで歩いているか、徹底的に真似してみてください。
目の前の人はただいつも通り歩いているだけです。しかし真似しているあなたからするとすごく違和感を覚えることでしょう。
自分の中の当たり前が必ずしも人の当たり前じゃないということを知る良いきっかけになるのでぜひ一度お試しください。
そして自分の当たり前を疑うきっかけを手に入れたら、また自分の声を録音して良いところを探しましょう。自分では今まで気にしていなかったけど、これってもしかしたら良いところかもしれないといった引き出しが手に入ります。
自分の良いところを探すのも『客観視』の訓練になる
とはいえ元々の性格によっては自分の良いところが中々見つからない、悪いところにばかり目がいってしまう、そもそも自分の良いところなんてない、と思う人もいるかもしれません。
そういう人はまず自分が『偏見に満ちている』という自覚を持ちましょう。
そうです。
「あなたは偏見の多い人ですね」と言われて良い気持ちになる人はいないと思います。すみません。しかし『自分の悪いところばかり目がいく』、『自分には良いところなんてない』といった意見が偏っていないのだとしたらなんでしょう? 誰にも迷惑をかけていないだけで、これは立派な偏見です。
中には「偏見じゃない! 自分に良いところがないのは事実だ!」とそれでも意見を曲げない方がいます。
感じ方における事実なんていうものは人の数だけあります。それは先ほどお話しした『他人の歩き方を真似してみよう』を実践してもらえればすぐにわかると思います。
また、言葉を言い換えるだけでも短所は簡単に長所になります。そしてそれが誰かに長所と認識されたら、それは “言い換えただけの短所” ではなく “立派な長所”、すなわちあなたの『良いところ』なのです。
言葉の受け止め方や感情のコントロールが苦手な方はぜひ一度『言い換え』をテーマに日常を過ごしてみてください。
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良いところが見つからない場合はただただ色々書き出そう
それでも良いところがわからない、見つからないという人はただただ色々と書き出してみましょう。
・自分はこんな声質だな
・歌の入り方で下からよく音をしゃくりがちだな
・この歌詞を伝えようとしている時すごくアクセントが強くて息をたくさん吐いてるな
・独り言の歌詞と誰かに伝える歌詞で言葉の距離感が変わったな
滑舌に関しても、全体的には苦手かもしれませんが、カ行に比べてハ行は言えてるな、などとにかく録音の中で起こっていることを全て書き出してみましょう。書き出すことでたくさんのことが見えるようになり、少しずつ新しい視点も手に入ります。
注意点としては、こういった練習は「ハイハイそうすれば良いのね」くらいに軽く考えて頭の中で全部処理しようとする人が多いです。
作業になれている人ならともかく、自分で自分の良いところが一つも見つけられないという人は絶対に書き出して訓練しましょう。
ストレス回避のためにも良いところを探そう
最後に一番大切なポイントです。
嫌なところだけをみ続けていくと、人によってはストレスがどんどん溜まっていきます。
もっと上手くならなくちゃ、もっとできるようにならなくちゃと焦っていくうちに緊張が高まり、緊張のしすぎで発声に悪影響が出るという人を何人もみてきました。
適度な緊張はあなたのパフォーマンスを向上させる要因にもなりますが、過度の緊張は当然よくありません。
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良いところを見つけて自分を褒めましょう。
客観視の訓練であったりブランディングの意図であったりと成長のための説明をしてきましたが、何よりも、自分で自分を認める・褒めるという行動は自己肯定感を高め自分のメンタルを自分自身でコントロールするためにとても大切です。
真面目な人ほど悪いところばかり気にしがち
もちろん悪いところを見つけることは決していけないことではありません。
悪いところを改善しないと成長しないですし、人によっては悪いところがその他良いところの邪魔をしているという場合もあります。
こういう時真面目な人ほど『早く弱点を潰さないと』『早くこれができるようにならないと』と焦ってしまい、視野がさらに狭くなり、自分ができていないところにばかり目がいきがちです。
しかし、芸事は一生勉強です。
日々成長すればするほど視野が広がり、熟練すればするほど細かい部分が目につくようになります。
あなたが感じる『弱点』や『できていないところ』は一生なくなりません。
それで自分の成長を感じられないほど焦ってしまってはもったいないです。
良いところも探しましょう。
前よりこんなところが成長した、元々ここが素敵だったがさらに磨きがかかったなど、良いところを探すのは成長の実感にもつながります。
成長にはバランスが大事
今回は自分の声を録音した時、悪い部分だけでなく良いところも探そうというお話をしました。
良いところ探しは様々なメリットがあります。
未来の自分のため、今の自分のため、積極的に良いところを探していきましょう。
良いところも悪いところも、自分でどうにかするのが難しい人はぜひレッスンへ。お金がもったいない人は街のスクール(シアーミュージック 、【アバロンミュージックスクール】 など)が無料で体験レッスンも行っているので、近くにありそうな人はぜひ足を運んでみてください。
歌う上で表現力を高めたい。なんとなく表現の幅が少ない気がする。何を意識して練習したらいいか分からない。プロは何であんな表現になるんだろう。そんな人のためのお話です。言葉への意識が変われば表現力は少しずつ身についてきます。是非最後まで読んで[…]